2012.07.21
新時代の実力派 贔屓にしたい若手注目株 Vol.3すし処 央
谷脇 裕史 32歳
店の扉を開けたとたん、爽やかな檜の香りが鼻孔にふわり。何せ今年5月にオープンしたばかり、握りを直接置く付け台だって染みひとつなく清らかだ。大将の谷脇裕史さんも、お店同様フレッシュを絵に描いたような人。目元が涼しい若き職人だが、中学二年でこの道に心を定めたと聞けば決して早すぎる独立ではあるまい。
『寿司田』に入社後、銀座の系列店で腕に磨きをかけた谷脇さん。27歳にして『すし田乾山 銀座松屋店』の店長を任されるに至るが、そこまで順風満帆だったわけではない。「修業時代、おいしくないから握る人代わって、とお客様からストレートに言われたことも。銀座は怖い街ですね」。
そんな舌と目の肥えた客に育てられ、気づけば目の前の席を占める常連が増え、独立後もお茶を挽く間がないほど。夜は新妻にして女将の千央さんと客をもてなす雰囲気も和やか。「銀座らしく緊張感漲る店?自分には無理ですよ」。カラリと笑うが、繰り出す握りは実に端正、はや熟練の気がピリリと漲る。
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