2021.06.19
「お笑い第七世代」が一時代を築き上げた。明確な定義はないが、2010年代後半から人気を博した若手やゆとり世代の芸人たちを指す。
尖っていないけれど新しくて、柔軟性のある第七世代が、なんと鮨職人の間にも存在するというのだ。
今回は、東京の鮨を知り尽くす早川 光氏とともに、お茶の間で愛される彼らに通ずる、若き鮨職人たちの魅力に迫りたいと思う。
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食べ歩いた店は4,000軒超え!鮨を知り尽くす早川 光氏が語る「第七世代」
今回話を伺ったのは早川 光氏。『早川 光の最高に旨い寿司』(BS放送)の番組ナビゲーターとしても知られる鮨評論の第一人者だ。
いま、2万円以下のおまかせコースでレベルの高い握りを食べさせる、若手の実直な鮨職人が増えつつある。
そんな、現在30代前後の若手鮨職人たちのことを、早川氏は昨今の第七世代と呼ばれるお笑い芸人に例え(鮨の)第七世代と呼んでいる。
では、その第七世代の特徴とは、いったいどういうものなのだろうか?
そのひとつに、早川氏は〝人懐っこさ〞をあげている。人当たりの良さともいうべきか。また、鮨職人同士の交友も親密で、互いの店を行きあうのはもちろん、一緒に食事に行くこともままあるそうだ。
とはいえ、客へのホスピタリティの良さやお互いの交流などについては、銀座『はっこく』の佐藤博之氏や中目黒『鮨 尚充』の安田尚充氏、渋谷『くろ﨑』の黒﨑一希氏、不動前『鮨 りんだ』の河野勇太氏ら、ひとつ前の世代からも見られてきた傾向だ。
しかし、第七世代は同じホスピタリティの良さでも、その前世代とはスタンス自体が若干変わってきていると早川氏は説明する。
「佐藤さんや安田さんたち第六世代の人達も、もちろん客をもてなす技術は高いけれど、自身の個性を押し出したいし格好よくありたいとも思っている。
自分たちが成功する事で、その後の世代がより仕事がしやすくなるんじゃないか……そういう考えだと思うんです。秘めたライバル意識も持っているしね。
けれども、第七世代にはそういうところが全くない。彼らは、第六世代よりも、更にお客様本位。客に楽しんで気持ちよく帰っていただくことが一番と思っているんです」。
「自分が客だったら」を追求する第七世代の魅力
価格設定についてもお客様目線だ。早川氏によれば、第七世代はいつも〝自分だったら〞を念頭に置いて客と向き合っているという。
自分が客として鮨店に行くとしたら、3万円以上払ってまでは行かないけれど、2万円ならまた行こうと思う。このように、自身が適正と考える値段設定でやればいいという考え方なのだ。
築地『鮨 桂太』の青山桂太氏の「必要以上に儲けようと思わない」との一言が、その事実を物語っていよう。
そうした特徴を持つ裏には、第七世代が、いわゆるゆとり世代である点も大きく関わっているようだ。
辛いとすぐ辞めてしまう同世代の仲間たちの中で、頑張って生き残ってきただけに、現在、ひとり立ちしている第七世代は、忍耐力と処世術に長けているというのが早川氏の意見だ。
そう、彼らは常に等身大。劇場型鮨店のような派手なパフォーマンスもなく、いたずらにインスタ映えする鮨を握ろうとも思わない。ある意味淡々として鮨を握る。
ことさら自分をよく見せようとも思わず、必要以上に客に媚びない。心地よい距離感を保ちつつ客と接する。
だからこそ客も肩肘張らず、そして、懐具合も気にせずに居心地よく過ごすことができるのだろう。
前述の築地『鮨 桂太』の青山桂太氏をはじめ、阿佐ヶ谷『鮨 しゅん輔』の高岡俊輔氏、奥渋谷『鮨 利﨑』の塩崎竜太氏と毛利太祐氏、赤坂『きざ』の木崎 倫氏等々が、いま、早川氏が注目する第七世代の鮨職人たちだ。
いずれも、2万円前後でレベルの高い鮨を味わえる良店ばかり。こうした低価格路線は、果たして今後の主流となっていくのだろうか?
1961年、新宿区生まれ。『江戸前鮨職人きららの仕事』などの漫画原作者であると同時に、鮨評論家、ミネラルウォーター評論家など多彩な顔を持つ。『鮨水谷の悦楽』(文藝春秋)をはじめとする鮨に関する著書も多数。
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