朝子と亜沙子 Vol.2

1人、そしてまた1人と同僚が消えていく…「数字が出来ない者は寄生虫」と言い放った、悪魔のような女

ここはとある証券会社の本店。

憧れ続けた場所についに異動となった、セールスウーマン・朝子。

そこでは8年前から目標としていた同期の美女・亜沙子が別人のように変わり、女王の座に君臨していた。

年齢なんて意味を持たず、数字の出来る者がヒエラルキーの頂点に立つ営業の世界で、朝子は勝ち残ることができるのか?

数字と恋をかけた2人のアサコの闘いの火蓋が、今切られるー。

前回、本店・営業1課に配属された朝子。期待に胸を膨らませるも束の間、トップセールスの亜沙子が先輩社員の篠原を土下座させるという異様な光景を目にしてしまい、衝撃を受けるのだった。


ある日、1人の男が突然行方をくらませた。

朝子たちの課の4年目の後輩が、急に会社に来なくなったのだ。彼の名前は、中島という。

みんなで何度も中島の携帯に連絡をしたが、電波の届かないところにいるというアナウンスが流れるだけ。

寺島が自宅まで見に行ったが、家の中にいる様子もないようだ。

それは朝子が着任して一ヶ月を過ぎたときの事だった。

ー中島君…。もしかして…。

朝子には思い当たる節があった。あれは、1週間前のことだ。



その日、朝子はお客様の家を訪問し、お勧めの投資信託の説明をしていた。

すると、おもむろに鞄の中で携帯がブーブーと鳴り始める。

接客中に携帯を見るわけにもいかない。朝子は気にせずそのまま説明を続けていた。

ところが携帯はその後も何度も鳴り、誰かが繰り返しかけてきている様だった。

ー何か緊急事態かしら…。

見かねたお客さんが、「出たら?」と言ってくれた。

「申し訳ございません…失礼いたします」

朝子は慌てて、ガサゴソと鞄から携帯を取り出した。

画面に目をやると、課長の寺島からの着信が5件もある。そして、今まさに6回目の着信がブーブーと鳴り始めた。

朝子は急いで電話に出る。

「はい、中川です。どうしましたか?」

―一体何事…?私、何かミスでもやらかしたのかしら?

朝子の額にひんやりと汗が浮かんだ。

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