“ゆとり”のトリセツ Vol.11

“ゆとり”のトリセツ:結局、“世代”なんて関係ない。幸せになるために必要な、たった一つのこと。

バブル崩壊後の低迷する日本を生きてきた“ゆとり世代”。

仕事も恋も、何もかもが面倒くさい。報われる保証もないのに、頑張る意味がわからない。

外資系コンサルティングファームに勤める瑞希(26歳)も、まさに典型的な“ゆとり”。

高学歴、高収入、容姿端麗。誰もが羨むハイスペにも関わらず、その実態は信じられないほど地味だ。

趣味はNetflix、たまに港区おじさん・水野と出かけるのは庶民的な餃子屋。

巻き込まれる形で参加したプロボノ活動でも、結局は効率重視で熱くなれない。

団塊ジュニア世代の水野との関係には不思議と安心感を感じ、餃子仲間以上の感情を意識し始めるが、どうやら水野には何やら隠している事情があるようで…?


嫌な予感


『放課後わんぱく会』のミーティング結果をLINEで報告した翌日。約束どおり、瑞希と水野はタイガー餃子軒で落ち合った。

「…ていう状況で、無事エリアマネージャーの採用も進んでます。来月末くらいまでには新しい体制の基盤が出来上がるんじゃないかなと思います。」

「そう、それは良かった。上野さんにお願いして良かったよ。おかげで思ってたより早く進みそうだね」

現状を改めて報告する瑞希に、水野はにっこりと笑う。その表情を見て、瑞希は改めて嬉しくなった。

「小原さんも、感謝してたよ。...彼、僕がお金入れてるから渋々プロボノの意見も聞き入れてるみたいなところあったんだけど、今回はハッキリ“お願いして良かった”って言っててさ。

しかも、この前上野さんに“熱意が足りない”みたいなこと言ってたの、ちょっと反省してた」

水野の言葉に思わず顔がにやけるが、それを悟られたくなくて、そっと目を逸らし餃子に箸を伸ばす。

「はは。まぁでも確かに、私は仕事の一環でやることやっただけっていう感じなんで、小原さんが仰ってたことはごもっともなんですけどね。でも、喜んで頂けたことは素直に嬉しいです。

...私は私の価値観で、やることやらないこと決めてるだけですけど、それで人の役に立てたなら何よりですから」

最初は正直、どうして自分がプロボノ活動なんて、と思っていた。

しかし今となっては、巻き込まれてみて良かった、と感じている。それは...。

−水野さんに、喜んでもらえたし。

心の声は口には出さず、しかし瑞希は笑顔で水野の顔を見上げた。

―…ん?

瑞希の頭に、疑問符が浮かぶ。…何か、水野の様子が普段と違うのだ。

言葉にできぬ、嫌な予感がした。

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