“ゆとり”のトリセツ Vol.6

“ゆとり”のトリセツ:何事も効率が最優先。冷めきったゆとりの心を刺した、熱き起業家の言葉

バブル崩壊後の低迷する日本を生きてきた“ゆとり世代”。

諸説あるものの、現在の20代がこの世代に当たるとされる。

仕事も恋も、何もかもが面倒くさい。報われる保証もないのに、頑張る意味がわからない。

外資系コンサルティングファームに勤める瑞希(26歳)も、まさに典型的な“ゆとり”。

高学歴、高収入、容姿端麗。誰もが羨むハイスペにも関わらず、その実態は信じられないほど地味だ。

趣味はNetflix、たまに港区おじさん・水野と出かけるのは庶民的な餃子屋。

「楽に・効率的に」を行動の原則に据える瑞希だが、水野から半ば巻き込まれるような形で、プロボノ活動に参加することとなる。


巻き込まれた、プロボノ活動


「...以上を鑑みると、採算性の悪い一部地域でのサービスを終了し、採算の取れる地域へスタッフを厚めに再配置することが目下取り組むべき最優先課題と考えられます」

暖房の効き過ぎだろうか、水曜16時のオフィスにはぼんやりと眠たげな空気が充満している。

地上45階のオフィスの中でも、東京タワーを正面に据えた上司・吉田の個室からの眺望は抜群だ。

しかしそれも、毎日眺めているとただの壁紙のようになってくる。

「なるほどね。よくまとまっているし、納得感があるな。ここ2週間出張続きでなかなか見られなかったけど、上野さんが丁度入ってくれて助かったよ。この内容で一回CEOと話してみようか」

「分かりました、では調査資料と一緒にこの提案内容で一旦メールしておきますね」

自分用の資料を手早くまとめると、瑞希はそそくさと吉田の個室を後にした。デスクに戻り、大きく一度伸びをする。

―…ふぅ、早めに片付いて良かった。

水野に半ば強引に引きずり込まれる形にはなったが、思っていたよりプロボノ活動の負担は軽く、瑞希はほっとしていた。

社内でもプロボノ活動は通常業務と同じ扱いで、業務時間内に活動が認められていることも大いに助けになる。

水野が出資しているというNPO『放課後わんぱく会』は、学童保育を事業の柱とし、関東を中心とした主要自治体で事業を展開している。

そのサービス自体の需要は高いものの、質を維持しつつ広い地域で同様のサービスを展開することには、スタッフの制約、収益性から課題があった。

NPOとは言え、ある一定水準の収益性を維持できなければ、そもそも事業の展開は望めない。

そこでマネジメント側から、プロボノパートナーのコンサルに助言が求められたという次第だ。

NPOであろうと営利企業であろうと、抱える問題に対する解決を見出すという点ではコンサルの役割は変わらず、瑞希は通常業務と同じように取り組んでいた。

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