恋愛中毒 Vol.8

恋愛中毒:妻の浮気に気づかぬほど、間抜けでも自惚れた男でもない。冷静な夫の異常愛

人妻が恋するのは、罪なのか。

裕福で安定した生活を手に入れ、良き夫に恵まれ、幸せな妻であるはずだった菜月。

結婚後に出会った彼は、運命の男か、それとも...?

身も蓋もない、無謀で純粋な恋に堕ちてしまった女は、美しく、ひたむきに、強かに、そして醜く成長していく。

人妻の菜月は、独身のフリをして参加した食事会で、独身の達也と出会い恋に堕ちてしまう。しかし、それを知った達也の恋人・あゆみは、菜月の職場に乗り込み修羅場と化した


「菜月さん、大丈夫?本当にごめん...」

数日ぶりに聞く達也の声は、やはり身体の隅々まで染み渡るような心地良さがあった。

「達也くん...」

美加と別れてからほどなく、今日の騒動を聞きつけた達也は焦って電話をかけてきた。彼は謝罪を繰り返し、例の彼女が厄介で、連絡が取れなかった旨などを必死に説明する。

しかし、職場で罵倒され、親友を悲しませるという女同士の修羅場を二度も経験したあとでは、菜月の心はほとんど折れかけていた。

「大丈夫じゃない...。美加にまで知られちゃったの。私、もう達也くんには、会えないよ...」

思い切って言ってしまうと、目にどっと涙が溢れた。

スマホ越しに、達也が息を飲むのが分かる。

「菜月さん...」

きっと、自分たちはここで終わるだろう。

もう、達也に会えない。

今の菜月にとって、それ以上に悲しいことなんて他にはない。

「そうだよね。本当にごめん。しばらく会わない方がいいよね」

覚悟はしていたはずだった。

それでも、達也に呆気なく同調されると、菜月は身体が引き裂かれるような深い悲しみに襲われた。

【恋愛中毒】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo