恋愛中毒 Vol.2

恋愛中毒:“妻”という安全地帯に甘んじる女に訪れた、独身男の誘惑

人妻が恋するのは、罪なのか。

裕福で安定した生活を手に入れ、良き夫に恵まれ、幸せな妻であるはずだった菜月。

結婚後に出会った彼は、運命の男か、それとも...?

身も蓋もない、無謀で純粋な恋に堕ちてしまった女は、美しく、ひたむきに、強かに、そして醜く成長していく。

友人の強引な誘いで、独身のフリをして食事会に参加した菜月。達也から無遠慮なアプローチを受けるが...?


「ねぇ、菜月さん、ものすごい俺のタイプなんだけど」

達也が囁くようにそう言ったとき、菜月は怯えにも似た苛立ちを覚えた。

こんなセリフを、きっと彼は毎晩のように多くの女たちにばら撒いているに違いない。

「今度、食事行こうよ」

彼の挑発的ともいえる物言いや立ち振る舞いに、下心を隠す気配は微塵もなかった。

滑らかな肌に、少年っぽさを残す整った顔立ち。商社マンというブランド力も相まって、29歳のこの彼は、こういった男女の場において、限りなく敵なし状態なのだろう。

言い換えれば、人妻の菜月が一番関わることのない人種だ。

「また、みんなで...」

菜月は曖昧な返事をして、居心地の悪さを隠すように時計に目を落した。時間は22時半を過ぎている。夫は遅くとも24時前には帰るはずだから、そろそろ自分も帰宅の時間だ。

「あの...申し訳ないんですけど、私はお先に失礼します」

「じゃあ俺、駅まで送っていく」

菜月が言うと同時に、達也まですかさず席を立つ。

「なっちゃん、今日は本当にありがとう!達也、よろしく~」

すでに酔いが回り、男との会話を楽しんでいる美加は、菜月の戸惑いに気づく様子はなかった。

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