恋愛中毒 Vol.4

嫉妬と独占欲ゆえ、“一線”を越えた妻。その背後に忍び寄る、女の影

人妻が恋するのは、罪なのか。

裕福で安定した生活を手に入れ、良き夫に恵まれ、幸せな妻であるはずだった菜月。

結婚後に出会った彼は、運命の男か、それとも...?

身も蓋もない、無謀で純粋な恋に堕ちてしまった女は、美しく、ひたむきに、強かに、そして醜く成長していく。

人妻の菜月は、独身のフリをして参加した食事会で、独身の達也から口説かれる。警戒心を抱きつつも、彼に徐々に惹かれ始め、ついに恋に堕ちてしまった。


「菜月、そろそろ基礎体温測るとか、そういうの始めた方がいいんじゃないの?」

夫の宗一は新聞から目を離さずに、朝のコーヒーを啜りながら言った。

何気ない風を装っているが、これは彼なりの、精一杯の主張だ。少し前から、夫には子どもを持ちたい願望が芽生えている。

「そうだね。私、わりと忘れっぽいから、気をつけないと」

「俺も協力するから、大丈夫だよ」

本心が顔に出ないように気をつけながら、菜月はなるべく優しく微笑んで朝食を片付ける。

子作りに協力的な夫というのは、ひょっとすると、世間一般的な評価は高いのかも知れない。その願望のほとんどは義母譲りで、彼が菜月の身体に手を伸ばすのは、月に一度程度だとしても。

それに比べて自分は、ひどい不良妻だ。何食わぬ顔で従順な妻を演じながら、隠れてピルを服用し、身も心も他の男に捧げてしまっている。そう、“身も心も”。

達也の力強い腕と、熱い体温を思い出す。あれに包まれてしまうと、菜月はもう、他の何もかもすべてが不要に思えてしまう。

不思議なほど、罪悪感はなかった。

そんな後ろめたさを持つくらいなら、初めから何もしなければいい。平然と嘘をつくことができなければ、達也に会うことができなくなる。

あの日。

達也の部屋で一線を越えてしまってから、菜月は半ば開き直りにも似た気持ちで、危険な恋の中毒に溺れていた。

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