恋愛中毒 Vol.3

恋愛中毒:彼に、会いたい。あの夜のタクシーで、人妻の私は後戻りできぬ恋に堕ちた

人妻が恋するのは、罪なのか。

裕福で安定した生活を手に入れ、良き夫に恵まれ、幸せな妻であるはずだった菜月。

結婚後に出会った彼は、運命の男か、それとも...?

身も蓋もない、無謀で純粋な恋に堕ちてしまった女は、美しく、ひたむきに、強かに、そして醜く成長していく。

友人の強引な誘いで、独身のフリをして食事会に参加した菜月。独身の達也から二人で会おうと誘われるが...?


いつもの朝。

夫の宗一を玄関で見送り、掃除洗濯を済ませ、コーヒーを淹れ、一息つく。

夫婦二人分の家事なんて、大した労力は使わない。それでも、部屋の中が少し整うだけで良き妻になったような気がするから、女なんて単純な生き物だと思う。

日当たりの良い部屋でコーヒーを飲む一人の時間が、菜月は好きだった。

外の緑を見ながらノラ・ジョーンズなんか流し、ただぼんやりと過ごして、作り置きの料理などしていれば、自分が比較的恵まれた妻であること、この環境は“幸せ”と呼べるだろうことを実感できるのだ。

それはまるで、ぬるま湯に浸かるような平和な時間だったはずだ。

しかし、菜月は初めて知ることになる。

他の男を胸に抱きながら同じ作業をこなすのは、全然楽ではない。

何をしても気が散り、胸がしくしくと痛むような、浮足だつような。笑いたいような泣きたいような。誰かに聞いてもらいたい、でも、秘密にしたい。

いったん気が緩み、達也のことを思い出してしまえば、自分でも理解できない複雑な気持ちに苛まれてしまう。

そして菜月は、平和とは程遠い時間を過ごすことになるのだ。

でも、かといって昔の自分に戻りたいかと言えば、それは絶対に嫌だった。

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