恋愛中毒 Vol.7

恋愛中毒:人妻が恋に堕ちれば、世間を敵に回す。狂気に満ちた独身女との修羅場

人妻が恋するのは、罪なのか。

裕福で安定した生活を手に入れ、良き夫に恵まれ、幸せな妻であるはずだった菜月。

結婚後に出会った彼は、運命の男か、それとも...?

身も蓋もない、無謀で純粋な恋に堕ちてしまった女は、美しく、ひたむきに、強かに、そして醜く成長していく。

人妻の菜月は、独身のフリをして参加した食事会で、独身の達也と出会い恋に堕ちてしまう。しかし、それを知った達也の恋人・あゆみは、菜月の職場に乗り込んで来た


「皆さん、今日のご体調はいかがでしょうか...」

菜月は無理矢理に笑顔を作り、声が震えそうになるのを必死で耐える。

達也の恋人に真正面から鋭く見据えられながら、無情にもヨガのレッスンを始めなくてはならなくなったのだ。

「まず、優しく瞼を閉じて、鼻からゆっくりと息を吸い込んで...」

首筋や背中、脇のあたりには、すでにじっとりと嫌な汗が伝っている。

「次に口から、大きく息を吐きましょう。身体の中に溜まった疲れや力みを、呼吸と一緒に吐き出して...」

そんな言葉とは裏腹に、菜月の呼吸は荒い。

一体、今、自分はどんな顔をしているだろうか。スタジオ全面に貼られた鏡を見るのも恐ろしく、目を閉じたまま、生徒の様子を確認することもできない。

「ご自分のペースで呼吸を繰り返し、身体の内側に自然に意識を向けていきましょう...」

シンと静まり返った薄暗いスタジオの中で、生徒たちの呼吸音が、ヒーリングミュージックと共にゆったりと響いている。

そして、こわごわと目を開けた瞬間、菜月は思わず小さく悲鳴を漏らした。

目の前の女は、大きく目を見開き、敵意を微塵も隠そうとせず、じっとこちらを見つめていたのだ。

その真っ黒な瞳が、ゆっくりとおもむろに動く。

彼女の視線の先にあるものに気づき、菜月はさらに恐怖に包まれた。

女は、菜月の左薬指に光る、結婚指輪を凝視していた。

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