SPECIAL TALK Vol.32

~ディープラーニングでGoogleに勝つ。起業の醍醐味は、小さな組織が大きな組織に勝つこと~

ITの天才をいかにして生み出すか

金丸:グーグル創業者であるラリー・ペイジが、何歳からコンピュータを触り始めたのかご存じですか?

西川:いや、知りません。

金丸:6歳の頃からなんです。彼の両親は、ミシガン州立大学の出身です。お父様は計算機科学・人工知能教授、お母様は同大学でコンピュータ・プログラミングの教師をしています。

西川:まさに英才教育の賜物ですね。

金丸:これからはラリー・ペイジのような人が、どんどん出てくるでしょう。スポーツ選手の両親が子どもに英才教育を施すように、コンピュータの分野も限りなくスポーツと同じようになっていくと思います。

西川:私がプログラミングコンテストに参加した当時は、中国やロシアのチームが強かったですね。彼らは1日に20時間もプログラミングの練習をしていたそうです。さすがに驚きましたね。

金丸:中国もロシアも国家戦略の一環としてやっていますからね。体操やバレエと同じです。税金をつぎ込んで、オリンピック選手を育てるのと同じように、プログラミングの英才教育をしているんです。4、5年前にデンマークの教育現場を視察したのですが、小学1年生からすでにコンピュータ教育が始まっていて、子どもひとりに1台ずつノートブックが用意されていました。

西川:うらやましいですね。

金丸:世界を相手に戦うグローバル時代ですから、子どもたちにはITコンプレックスをもたせない、むしろ武器にできるように、という考えなんです。

西川:それは国策で行っているのですか?

金丸:そうです。だからデンマークのように、子どもたちのIT教育に取り組んでいる国と日本の子どもたちとでは、その差はすごく大きいと思います。日本でも2020年から小学校でプログラミングが必修科目になりますが、西川さんのように「プログラミングって楽しい!」と小学生が思えるかどうか、少し心配しています。というのも日本って、すぐに試験をしたがるし、ほかの子と相対比較をしてしまいますよね。

西川:そうですね。だから私は試験が大嫌いでした。

金丸:プログラミングと試験はなじみませんよ。プログラムの書き方なんて自由だから、正解は無数にあります。200点をつけるべき解答があるかもしれないのに、それを100点満点で採点するなんておかしい。

西川:それにアルゴリズムの説明から始めても、小学生は興味をもてませんよね。本当は楽しいはずなのに、何のためにやるのかがわからないまま勉強させられたら、私が水泳をいやになったのと同じようになってしまうんじゃないかと。

金丸:まずは楽しさを教えるべきですよね。世界を舞台にプログラミングで勝負する人たちは、プログラミングが好きなうえに得意な人たちです。だから日本の子どもたちにも、まずは入り口の部分で、ちゃんとプログラミングを好きになってもらわなきゃいけません。ところで西川さんは、お子さんはいらっしゃいますか?

西川:はい、5歳の息子がいます。iPadで遊んでますよ。

金丸:じゃあ、きちっとその遺伝子を継承されているんですね、世界と戦うために(笑)。iPadはタップするだけだから、わざわざ使い方を教えなくても操作できるのがいいですよね。

西川:アプリの使い方も、ひとりで勝手に覚えていきますからね。最近、ファミコンをやらせてみたんですが、操作方法がわからなくて、初めは戸惑っていました。だからインターフェイスが進化したことは、とてもいいことだなと。

金丸:やはりスティーブ・ジョブズがこだわったインターフェイスって、すごいですね(笑)。

西川:ただ、そういうわかりやすいものだけじゃなくて、よくわからないものも経験させたほうがいいんじゃないかと思って、ファミコンも置いています。

金丸:ちなみに息子さんは、運動はどうですか?

西川:苦手そうです(笑)。

金丸:なるほど。そこも継承されたと(笑)。

西川:ですね(笑)。でもいまの子どもたちは、幼稚園からプログラミングができるわけだから、すごくうらやましいです。

金丸:すごい時代になりましたね。

西川:私は小学校の高学年まで、コンピュータに触れる機会がほとんどありませんでした。もっと早くからパソコンが横にあったら、いま以上に夢のような世界があったんだろうな、とつい思ってしまいます。

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