SPECIAL TALK Vol.31

~20歳代で年俸1億も現実のものに。これからの日本は、もっと若者にチャンスを与えるべき~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。規制改革推進会議議長代理、未来投資会議構成員、働き方改革実現会議議員、経済同友会副代表幹事、NIRA代表理事を務める。

日本は年功序列の社会をやめなければ世界で戦えるようにならない

金丸:これほどAIやディープラーニングへの関心が高まると、学びたいという学生も増えているんじゃないですか?

松尾:増えていますよ。だからこそ、一日も早く若者が活躍できる社会にしたいと思っています。最近の若者は元気がないとか、少子化が問題だとかいわれてますけど、年収と婚姻率の相関をみると、年収が高くなれば明らかに子どもの数は増えるんです。単純に給料を上げればいいだけの話なのに、日本の社会は年功序列が染みついているから、そうしようとはしない。お金も役割も与えない状況で、若者が成長するわけがありません。そして若者が成長しなければ、日本という国自体の成長も望めません。いまの若者は明らかに上の世代に搾取されているんです。冗談じゃなく、クーデターを起こしてもいいくらいですよ。

金丸:若者に活躍の場を与えるべき、というのは同感です。とくにITの分野は、テクノロジーの進化のスピードが速いので、過去の実績や経験なんて関係ない。若さは大きな武器なんです。「これがしたい」という強い意志と「面白そう」という好奇心と、どんな困難もやり抜く粘り強さがあれば、道は必ず拓けます。いつの世も時代をつくってきたのは、若者ですからね。

松尾:現にシリコンバレーでは、完全に20代の経営者が主導権を握っています。たとえばSnapchat 創業者のエヴァン・スピーゲルは26歳だし、マーク・ザッカーバーグは19歳でfacebookを創業しました。イノベーションを起こしてきたのは若者なんだから、チャンスを与えてほしい。最も頭の回転が速くて、最もパワフルな20代にプロジェクトをどんどん任せて、経済的にも潤ってほしいです。AIの世界なら、スキルさえあれば20歳代で年俸1億円だって夢じゃないと思いますよ。

金丸:そうですよ。スポーツの世界では、世界と戦って結果を残している錦織圭選手も羽生結弦選手もゆとり世代です。仕事には、経験の蓄積が活きる世界と瞬発力が活きる世界があります。仕事の領域ごとにピークの年齢というものがあって、当然キャリアの上り坂の人と、下り坂の人とではやるべきことが違います。年功序列という日本的な考え方から脱却して、年齢に関係なく、それぞれの能力に見合う対価がもらえる社会にしないといけません。

松尾:そういう意味で、日本って付加価値から逆算するプレーヤーが少なすぎると思います。みんなコスト積み上げ型の考え方をするから、非常にもったいない。私がやりたいのは、本当に優秀な若者にベンチャー企業を作らせること。そして、そのベンチャーを大企業に見合った額で買い取ってもらうこと。人生の先輩方には、頑張っている若者を一歩下がって応援してほしいです。

金丸:日本の未来に対する松尾先生のロジカルな考えと熱い思いが、ビシビシ伝わりました。若い人たちが能力を存分に発揮できる日本へ、ともに変えていきましょう。本日はありがとうございました。

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