二子玉川の妻たちは Vol.15

赤字ですが何か?社会貢献を主張する田園調布の妻も、結局ただ前に出たいだけ。

結婚は、女の幸せ。

そう考える種類の女にとっても、結婚は必要条件に過ぎない。

結婚しただけでは満たされない。女たちの欲望は、もっと根深いものだ。

ポーセラーツおうちサロンをオープンした由美は、よりにもよって同じマンションの最上階に越してきたポーセラーツ・カリスマサロネーゼ・マリに対抗すべく策を講じる。

読者モデルとして知名度のあるミカが設立したアロマビューティーライフクリエイト協会に入会し雑誌掲載のチャンスを掴むなどして、徐々に頭角を表す由美。

表舞台で活躍し始めた由美とミカ。田園調布3丁目に住む自称本物のアロマセラピスト・サヤはそんな2人を、私益のために前に出る下品な女だと見下しているが、その本音は?

わたしは、私利私欲に走る女とは違う。


田園調布3丁目にある、アロマセラピスト・サヤの実家リビング。

猫足のアンティークチェアに腰かけ、大きな格子窓から差し込む穏やかな光と、イランイランのアロマの香りに包まれながら、サヤは今日も優雅な午後を過ごしている。

サヤの仕事は相変わらず、両親が所有する不動産管理の手伝いである。本当はアロマセラピストとしての活動を本格化させたいのだが、現状は1年前と変わっていない。知人から依頼されて、ごくたまにアロマレッスンを開催する程度。

ふと、スマホを手に取るサヤ。無意識にインスタグラムを開いてしまうのは、もう癖のようなものだ。

そして、これも無意識の行動。

由美ミカのタイムラインをチェックしては、胸のつかえをとるように溜息をつく。正体不明のもやもやとしたものが胸を締め付け、息苦しくなるのだ。

よりにもよって今日は、2人揃って掲載されたらしい雑誌の該当ページがアップされていた。

「私のお気に入りアイテム」として、ミカが代表を務めるアロマビューティーライフクリエイト協会の商品、アロマお掃除スプレーやアロマディフューザーを手に持って決め顔を作っている。

―まったく、あさましいったらないわ。

私利私欲のために前に出る女たちに辟易し、サヤはスマホをテーブルに戻した。

【二子玉川の妻たちは】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo