薔薇色のバツイチ Vol.11

薔薇色のバツイチ:若さとは残酷。女に罪悪感と謙虚さを抱かせた、6歳下の男

東京で30代前半のバツイチ女性は、モテる。

とにかくモテて、モテすぎる。

30代前半に限れば、結婚経験のない女性よりもバツイチ女性の方がモテるといっても過言ではないらしい。

計らずともバツイチとなり、落ち込んでいたあゆみ(32歳)だったが、離婚の先には薔薇色のバツイチ生活が待っていた!?

離婚後、食事会で知り合った6歳下の春馬から、結婚前から口説かれていた幸夫には婚約者がいると知らされる。幸夫にカマをかけると彼はあっさり結婚を認めた。

傷心のあゆみは春馬に連絡し、恵比寿で会うことに。すると、春馬が突然あゆみを抱きしめて、二人の間に沈黙が流れて……。


すべてに若さが溢れている、年下の男


春馬の腕の中は、とても温かかった。

あゆみがまだ20代前半だった頃に、嗅いだことのある香水の匂いをほのかに感じながら、春馬の腕の中にいた。

「春馬くん、どうしたの?」

極めて冷静な声であゆみは言った。これくらいのことで6歳も年下の男の子に、動揺をみせてはならないと、変なプライドが働いたのだ。

二人を照らしながら、数台のタクシーが通り過ぎた。

深夜のウェスティンホテルの周辺はとても静かだ。歩いている人はほとんどおらず、しんと静まり返っている。

春馬の腕の中は少しだけゴツゴツしていた。あゆみより5歳年上だった元夫はお腹のまわりにそれなりの脂肪をたくわえており、良く言えば恰幅良く貫禄があった。だから、こんなに筋肉質な身体に触れるのは久しぶりだった。

春馬はまだ、若いのだ。なめらかな肌、細い指、真っ黒な髪、贅肉のない引き締まった身体。すべてに若さが溢れており、それがあゆみに妙な罪悪感を持たせた。

6歳も年下の男に抱かれると、女は謙虚になるのだと、あゆみはこの時初めて知った。

【薔薇色のバツイチ】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo