SPECIAL TALK Vol.28

~大切なのは、2種類の実行。それは物事を始める実行と、始めたものを続ける実行~

自分より高いレベルを知ることが重要。ハンドボールで培った成長の鍵

迫本:でも僕は切り替えが速い性格なんで、あきらめると速い。水泳は普通部できっぱりやめて、高校からハンドボールを始めました。もともと興味があったし、チームプレーへの憧れもあったし、それに慶應ではメジャーじゃないんで(笑)。

金丸:私も高校のときはハンドボール部でしたよ。確かに鹿児島でもメジャーじゃなかったけど(笑)。同じハンドボールをやっていたなんて、仲間ですね。慶應は強かったんですか?

迫本:全然。私が入ったときは、公式戦に出ても全敗1分け。僕がキャプテンになった2年生の秋から、強くなろうと本気で取り組み始めました。

金丸:とはいえ、弱小校がそう簡単には強くはならないでしょう?

迫本:そうなんだけど、とにかくやれるだけやろうと、めちゃくちゃ練習しましたね。徹底的に走り込みをしたり、練習試合の相手も超一流の高校ばかりを選んでみたり。でも、当然ながら強豪校からはまったく相手にされない。そんな中、相手にしてくれたのが、当時東京で最も強かった中央大学附属高校でした。

金丸:あの頃の中央はスゴかったですよね。川上整司先生(現・日本ハンドボール協会参与)が熱心に指導されていて、大学も非常に強くて。

迫本:初めて練習試合に行ったときのことは、いまでも忘れません。朝礼台に立った川上先生が、生徒たちをひっぱたいている。もう面食らいました。僕らなんて、親にも叩かれたことないのに(笑)。ここに来られただけでもいい思い出だから、このまま帰ろうかと思ったくらい。

金丸:当時は、そういう指導法が普通だったから。で、試合の方はどうだったんですか?

迫本:案の定、ダブルスコアで負けてしまいました。そしたら、川上先生に「キャプテンは誰だ? ちょっと来い!」と呼ばれて。これは怒られると覚悟していたんですが、「慶應、悪くないじゃないか」と。「うちのチームから半分得点を取れるところは、東京にない。ここに練習に来い!」と言ってくれたんです。嬉しかったですね。それから一緒に練習させてもらうようになり、3年生のときには、まったく無名だった慶應が、神奈川県で優勝して創部以来初めてインターハイに出場しました。

金丸:すごい!! たった1年で!そんなに強くなるんですね。

迫本:もう徹底的にやりましたから。後にも先にもインターハイに出場したのは、僕の代と、僕の弟が2年、3年のときの3回だけです。

金丸:お話を伺っていて思うのは、迫本社長はゴールに向かって邁進する力がずば抜けていますよね。

迫本:弱いものをみんなの力で強くしていくっていうのが、好きなんですよ。とにかく強くなるには、強いチームを知らないとダメ。まずは知ることが必須条件。その上で、どのように対応していくかが問われる。うちのチームは無謀にも、大学の強豪校だった日本体育大学とも試合をしました。コテンパンにやられましたけど。

金丸:でも高校生で日体大と戦うなんて貴重な経験ですよ。

迫本:相手は三軍でしたが、まったく歯が立ちませんでした。そもそも練習からして、キーパーが顔面でボールを受ける練習をしているわけだから、「これはカルチャーが違いすぎる」と。

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