二子玉川の妻たちは Vol.10

「お金じゃないのよ、サロンは。」“マトラッセ事件”で傷つく二子玉川妻

結婚は、女の幸せ。

そう考える種類の女にとっても、結婚は必要条件に過ぎない。
結婚しただけでは満たされない。女たちの欲望は、もっと根深いものだ。

夢だったおうちサロンをオープンした由美は、カリスマサロネーゼ・マリに対抗心を燃やす。

アロマライフスタイル協会入会し、雑誌掲載のチャンスを掴んだことで、少しずつ知名度を高める由美。

時は経ち、由美のおうちサロン「Brilliant」は開業1周年を迎えたが…?

CHANEL“マトラッセ”の誘惑


二子玉川にそびえる高級タワーマンション。

42階建8階の1室で、由美はせっせとインビテーションの封詰め作業をこなしている。

早いもので、由美がおうちサロン「Brilliant」をオープンして間もなく1年が経つ。インビテーションは、サロン開業1周年パーティーの招待状だ。

南向きのリビングで多摩川沿いの夜景を見下ろしながら、由美は思い出す。

1年前、おうちサロンを始めたばかりの頃のこと。同じマンションの最上階にカリスマサロネーゼ・マリが越してきて、出鼻を挫かれてのスタートだった。


オープンしてもしばらくは閑古鳥が鳴き、人が集まっていないことが知られないよう、生徒さんの手元アップの写真ばかりブログに載せていた時期もあったっけ。

たくさん悩んで、頭と身体を酷使して、ようやく軌道に乗せることができた。

おうちサロンBrilliant開業1周年を記念したパーティーは、由美が最近お気に入りでよく通っている『TOKYO BREJEW HOUSE』を貸切にして開催することにした。

明るい光が差しこむ開放的な空間はカジュアルかつエレガント。二子玉川の妻たちにも喜ばれるはずだ。

そうだ、と思い出して由美は小走りで寝室へと向かう。クローゼットの中からブラックボックスを取り出し、由美はうっとりとそれを眺める。


この1年のご褒美に、と自分で購入したCHANELのマトラッセ。

由美はブラックボックスと白地にCHANELと印字されたリボン、そしてベージュのマトラッセをバランス良く並べ、写真に撮った。

このpicは、由美のInstagramを間違いなく格上げしてくれるだろう。

達成感、そして自己顕示欲に浮かれながら、由美はInstagramの投稿ボタンを押した。

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