硝子の少年 Vol.9

硝子の少年 最終回:君が幸せなら、それでいい。一途な想いの向こうで、男が悟ったもの

男なら誰にでも、忘れられない女がいる。

美しく、強く、狡猾な女、「エリカ」。

潤にとって忘れられない女は、彼女以外の誰でもない。

フリーライターとして地味な仕事をする潤と、その美貌ゆえに、煌びやかな生活を送るエリカ。彼女に強い想いを寄せる潤だが、当然ながら、まるで相手にされない。

彼女が狙うのは、自分の価値をさらに高められるような、ハイステータスの金持ちばかりだった。

にもかかわらず、潤は、どうして「高嶺の花」であるエリカを追い続けてしまうのか?

長年エリカを想い続ける潤は、何度傷つけられても彼女への想いは消すことができない人妻となったエリカに潤はまたしても誘惑されるが、 実は彼女には、他にも「愛人」の影があった...。


「彼氏って、どういうこと?」

あの晩、電話を終えたエリカに問うた。

「彼氏は彼氏に決まってるでしょ?」

面倒臭そうに答えた彼女は、しかし僕の反応を面白がるような素振りで、意地悪い笑顔を浮かべ「彼氏」について詳しく説明してくれた。

今どき子供のいない妻は、夫以外に彼氏くらいいるのは普通だということ。電話の相手は独身の同い年の医者で、次に結婚するなら彼が第一候補だということ。その医者は現夫と違い、お坊ちゃん育ちで家庭的だそうだ。

ショックで言葉を失う僕の身体に、エリカは鼻歌混じりで細く白い腕を絡めた。

「ちなみに、彼氏ならもう一人いる。可愛い年下くんが。」

そう言うと、彼女は唇を僕の首筋にゆっくりと這わせた。悲しみと惨めさで押し潰されそうになりながら、僕はその夜、初めてエリカを抱いた。

【硝子の少年】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo