硝子の少年 Vol.6

硝子の少年:激しく怒り、泣き叫ぶ。感情に溺れる彼女が、どうしようもなく愛おしい

男なら誰にでも、忘れられない女がいる。

美しく、強く、狡猾な女、「エリカ」。

潤にとって忘れられない女は、彼女以外の誰でもない。

フリーライターとして地味な仕事をする潤と、その美貌ゆえに、煌びやかな生活を送るエリカ。彼女に強い想いを寄せる潤だが、当然ながら、まるで相手にされない。

彼女が狙うのは、自分の価値をさらに高められるような、ハイステータスの金持ちばかりだった。

にもかかわらず、潤は、どうして「高嶺の花」であるエリカを追い続けてしまうのか?

二人の出会いは学生時代。社会人になってもエリカを想い続ける潤は、「あんたなんて、5点の男」と傷つけられるが、彼女への想いは消えない。潤は現実を直視し、従順な恋人・加奈子と付き合い始めたが、他の男と婚約中のエリカに度々邪魔され...?


「生活感、丸出しの部屋ね。」

突如僕の部屋に現れたエリカは、不機嫌そうに部屋の隅々まで観察している。

今日も彼女は毛皮のコートに身を包み、頭には大きな帽子を乗せていた。

まるで、合成写真のような光景だった。典型的で平凡な一人暮らしの男の部屋に迷い込んだ、高級ブティックのマネキンのようなエリカ。

「これ、加奈子が作ったの?どうりで、部屋中が生臭いと思ったのよ。」

キッチンの鍋を見つけ、エリカは加奈子が作ったブリ大根を眉間にシワを寄せながらチラと覗き、乱暴に蓋をしめた。

“ガチャン”という音が、決して広くはない1DKの部屋に響き渡る。僕は絶望的な気分になった。完全に、エリカの機嫌を損ねてしまったのだ。

「何よ、あの子と順調に付き合ってるんじゃない。隠さなくたって、良かったのに。」

エリカはにっこりと微笑み、柔らかな声で歌うように言ったが、目は全く笑ってはいなかった。

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