硝子の少年 Vol.5

硝子の少年:従順な恋人より、手に入らぬ悪い女に目が眩む。ピュアな男の卑しい想い

男なら誰にでも、忘れられない女がいる。

美しく、強く、狡猾な女、「エリカ」。

潤にとって忘れられない女は、彼女以外の誰でもない。

フリーライターとして地味な仕事をする潤と、その美貌ゆえに、煌びやかな生活を送るエリカ。彼女に強い想いを寄せる潤だが、当然ながら、まるで相手にされない。

彼女が狙うのは、自分の価値をさらに高められるような、ハイステータスの金持ちばかりだった。

にもかかわらず、潤は、どうして「高嶺の花」であるエリカを追い続けてしまうのか?

二人の出会いは学生時代。社会人になってもエリカを想い続ける潤は、「あんたなんて、5点の男」と傷つけられ、距離は遠のいてしまう。そして、自分と同レベルの加奈子と付き合うことに決めるが...?


「ねぇ、今、目黒にいるんだけど。」

エリカからの電話は、唐突だった。そして僕は、飼い主からやっとエサを与えられた犬のように、一目散に彼女の元へ駆けつける。

「加奈子と付き合ってるんだって?ショック。」

その言葉とは裏腹に、エリカは面白がるような笑顔を浮かべている。

真っ赤なソールを見せながら、高く細いピンヒールで目黒川沿いを歩く彼女は、毛皮のコートを着て、エルメスの赤い小さなバーキンを持っていた。

以前から普通の人間より頭一つ飛びぬけて美しかったエリカだが、今となっては、既に一般人のレベルを完全に超えていた。強いオーラを身に纏い、まるで女王のように立ち振る舞う。

「ねぇ。」

僕の一歩前を歩いていたエリカは急に振り返り、僕に顔をグッと近づけニッコリと笑顔を見せた。

「私もね、結婚することになったの。」

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