社内恋愛をしている、広告代理店同期の久美子と頼樹(よりき)。
お互い仕事が忙しく、会う時間はあまりない。
「でも自分たちは大丈夫」なんて思っていたのは久美子だけだった?!
ある日、頼樹を狙う、自分とは正反対の女・秘書の奈緒が現れた。奈緒は久美子に挑戦的な目を向けてきて、久美子のモヤモヤは溜まるばかり。
何より、頼樹もマンザラでもなさそうで、心中穏やかでない久美子。
奈緒に負けないよう、久美子は自分磨きに目覚めたのだった。
だが、頼樹から奈緒と合コンに行く話を聞かされ、怒った久美子は自分も同期の岡田とデートに行くことに。それも、頼樹たちと同じ日に同じレストランに行く事を画策する久美子だが……。
vol.1:付き合って5年の彼が言った「最近、女忘れてない?」。その真意とは!?
vol.2:ライバルがデート先に出現!認めたくなかった“嫉妬心”に翻弄された夜
vol.3:自分が好きな男or自分を好きな男。どちらを選ぶのがオンナの幸せ?
佳境に入った女たちの戦い。その行く末は・・・?
「ねえねえ、ちょっと気になる事聞いたんだけど。」
久美子の同期で、唯一頼樹との関係を知っている祐美が、会社の廊下でばったり会った途端、こそこそと耳打ちしてきた。久美子は腕を掴まれ、人があまり通らない非常階段のドアまで引きずられるように連れて行かれた。
「秘書の山崎さんが、頼樹のこと狙ってるらしいよ。」
祐美から心配そうな顔で顔を覗きこまれた。
―あんな可愛い子から言い寄られたら、頼樹もちょっと危ないんじゃ……
声には出さないが、祐美がそう言いたいのであろうことが伝わってきた。
「祐美ありがとう。大丈夫だとは思うけど、ヤケ酒飲む時は付き合ってね。」
平静を装って軽い冗談を言うが、久美子の怒りはメラメラと勢いよく燃え盛る。そんな噂がでるなんて、端から見た二人の関係がよほど普通じゃないか、もしくは奈緒が意図的に噂を流しているか……。どちらかだろうと検討をつけた。
頼樹と奈緒の合コンの日も迫ってきている。クリスマスを控えた今、奈緒は合コンで一気に攻め落とすつもりなのだろう。
―クリスマスに向けて必死な女って、ホントみっともない。
脳裏に、奈緒の勝ち誇ったように笑う顔が浮かび、心の中で軽く毒づいた。
だが、いくら久美子が奈緒のことを見下そうとしても、結局選ぶのは頼樹なのだ。彼が自分を選ぶという自信は、正直な所60%ぐらいしか持てなかった。
―本当にヤケ酒に付き合ってもらう、なんて事にならないよう頑張らないと……!
祐美の後ろ姿を見送りながら、久美子は気持ちを引き締めた。頼樹と奈緒の合コンの日は、久美子と岡田のデートの日でもある。場所は同じ『オー ギャマン ド トキオ』。ここで鉢合せするのだ。その時の、頼樹の反応次第で今後の二人の未来が変わるだろう。
久美子と岡田は時間をずらして、頼樹たちより30分程遅れて行くつもりだ。来るべきその日に向けて、久美子は着々と準備を進めていた。