ラール・エ・ラ・マニエール Vol.6

ラール・エ・ラ・マニエール:悩めるスタッフを救った、一流レストランの“特別”な賄い料理とは?

『ラール・エ・ラ・マニエール』は、人生に迷った者が辿り着くという、不思議な、だけど実在するレストラン。”正しい導き方”という意味を持つこのレストランは、東京での生き馬の目を抜くような生活に疲れた時に、その扉が開かれる。
さあ今夜、その扉の前に現れたのは……?

さらにこの物語に出てくる料理は、実際にあなたも味わうことができます。
あなたの物語も綴ってください。
このレストランで、料理とともに……。

第1話:婚約破棄された美人受付嬢を蘇らせた、あるレストランの物語
第2話:離婚届を突き付けられた男を立ち直らせた、ソムリエの機転と、ある意外な料理
第3話:転落したベンチャー企業の元社長。彼に過ちを気付かせた「王道」の料理とは
第4話:元モデルが抱え続ける焦燥感。「何者」にもなれない自分に価値はない?
第5話:初めて愛した人にプロポーズを断られた男が気付いた、自分の存在価値とは?


頭を抱える美人パティシエ。今夜起こった出来事とは・・・


ソムリエの吉岡は、ある事が気になっていた。

いつもさりげない言葉と料理で、訪れる者をもてなす吉岡。彼はお客様に限らず共に働くスタッフの機微にも敏感である。そんな彼が今日、気にしているのはパティシエの宮田のことだ。

繊細で丁寧な仕事と愛嬌のある笑顔で、お客様の心を掴む宮田。それは営業時間外も同じで、彼女の気さくな関西弁は、スタッフ同士の場も和ませてくれる。

だが今日の彼女は、営業終了後に何かを考え込むように一点を見つめていた。表情は暗く落ち込んでいる。ディナー営業開始前、賄いのジャガイモを使った「グラタン・ドフィノワ」を皆で取り分けながら食べていた時は、いつものように楽しそうにしていたが、今その面影はない。


―今日の事で、相当落ち込んでいるな……。

吉岡は今夜の出来事に想いを巡らせた後、シェフの小清水に明日の賄い料理の相談すると、小清水はガラスの器に入れた”あるもの”を吉岡に見せた。

これが、明日の”特別”な賄いの材料となった。


『ラール・エ・ラ・マニエール』では、賄い料理に吉岡が注文をだすことはない。だが時に、例外もある。それは今日のように、スタッフが落ち込んでいる日である。



“賄いの時間”は、スタッフ同士コミュニケーションをとる場として吉岡が大切にしている時間の一つ。

飲食店の賄いの時間は自分で考えた料理を提供する絶好の場であり、お客様の情報共有の場でもあるのだ。

お客様に提供した料理の、余った材料を利用して作る事が多い賄い料理。肉や野菜の一番美味しい所はお客様に食べてもらい、切り落とした端の部分をいかにうまくアレンジするかも、腕の見せ所なのである。

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