2016.02.19
SPECIAL TALK Vol.172020年のニューリーダーたちに告ぐ
世界の人口は今後も増え続け、2100年には100億人を超えると言われている。そこで直面するのが食料問題やエネルギー問題だ。現に発展途上国では、いまも飢餓や栄養失調に苦しむ人が多数存在する。そんな世界の憂うべき未来の救世主となるのが、株式会社ユーグレナの出雲充社長だ。
カギとなるのが、ミドリムシという体長わずか約0.05mmの藻類。出雲社長はいかにしてこの問題を意識するようになり、ミドリムシという解決策を見出したのか。ユニークすぎる半生から見えたものとは? 次世代のリーダーになるヒントがここに。
金丸:本日はお忙しいなかありがとうございます。
出雲:こちらこそ光栄です。それにしても、六本木のこんな場所に鮨店があるとは知りませんでした。
金丸:六本木交差点から徒歩1分ですからね(笑)。今日はこちらの『六本木鯛良』で、お食事をしながら出雲社長の半生や仕事観をお聞きしたいと思っています。出雲社長は世界ではじめてミドリムシの屋外での大量培養を成功させた、世界が注目する起業家です。そして、とてもユニークな経歴をお持ちでいらっしゃいます。大きな可能性を秘めた御社の事業や出雲社長のヴィジョンは、読者にとって非常に興味深いと思います。早速ですが、幼少期はどんなお子さんだったのですか?
出雲:すっごくいい子でした(笑)。
金丸:先生の言うことをしっかりと聞くような?
出雲:むしろ、先生を助けていましたね。
金丸:ええっ、どういうことですか?
出雲:テストの採点を手伝ったり、成績の悪い子に勉強を教えたりしていたんです。いい子でしょ。
金丸:すごいですね。私と真逆です。
出雲:金丸会長は、ガキ大将タイプですか?
金丸:自分で言うのもなんですが、正義感と使命感がすごく強くて、クラスでイジメなんて起きたら介入して、解決していましたね。暴力好きの正義感というか。
出雲:まさに私とは真逆です(笑)
生物に没頭した少年時代
金丸:部活は何をされていたのですか?
出雲:中学高校はずっとテニスをやっていました。でも何より漫画を読むのが大好きで。
金丸:意外ですね。科学や実験が好きだったのかと思っていました。
出雲:生物は好きでしたよ。そのきっかけも実は漫画です。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』を愛読していて、その85巻に、ザリガニの話があるんです。主人公の両さんがザリガニを養殖し、レストランに売り込んで一儲けしようという内容なんですが、「こんなお金の生み出し方があるのか!」と感動しました。すぐさま弟と一緒に近所の池にザリガニを獲りに行って、自分も一攫千金を目論みました。
金丸:私も子どもの頃はよくザリガニ釣りをしていました。カエルをエサに。でもお金に替えようと思ったことはなかったな(笑)。
出雲:漫画ではスルメをエサにしていたので真似してみたんですが、これが1匹も釣れなくて。それでいろいろ試してチーズを入れてみたら、信じられないくらいガシャガシャーッと集まってきたんです。それはなぜかというと、チーズのタンパク質は低分子なので、すぐに遊離するんですね。すると、水中に溶け出したアミノ酸にザリガニが反応し、「エサがきた!」とわかるんです。
金丸:さすがは生物好きです。ところで一儲けはできたのですか?
出雲:それが養殖は難しかったですね。ザリガニは冬眠するし、2匹いたのが1匹になったりすることもあります。というのも、いつの間にか溶けていなくなってしまうんですよ。後でわかったのですが、あんなに固い甲羅が酵素と反応して溶けてしまうんです。固い甲羅を溶かしてしまう酵素ってすごいなあ、と感心しました。
金丸:それで、ザリガニから酵素に興味を持つようになったと?
出雲:そうです。高校生のときに。
金丸:ミドリムシへの第一歩ですね。
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