港区ラブストーリー Vol.8

港区ラブストーリー:2013年、突然の再会。幸せそうな元カレなんて、許せない?!丸山珈琲で感じた嫉妬

東京都港区。

東京の中心であるこのエリアには、数多くの“ロマンス”が詰まっている。ドラマみたいな出来事や、ドラマ以上の出来事が港区で過ごしていれば、降りかかってくることもある。

この“港区ラブストーリー”は、2007年に出逢った26歳の女と24歳の男の2016年までの恋模様、“あの日、あの時、港区で”の様子を描き出していく。

2007年、麻布十番で知り合った、ラジオ局勤務のさとみとテレビ局でADをしている潤。ある日、さとみは仕事のピンチを潤に助けられたのをきっかけに、二人の仲は急接近し付き合うことに。麻布十番で半同棲生活を送るなど、幸せな日々を送っていたが、潤の度重なる浮気が発覚し、二人は別れてしまう。

そして、久しぶりに会いに来た潤に、さとみは婚約した事を告げた。2012年、結婚したさとみと新しい彼女ができた潤は、それぞれの人生を歩んでいるが……。


2013年:丸山珈琲 西麻布店オープン


会社の同僚たちがしきりに「じぇじぇじぇ」と言っていたのをきっかけに、初めて朝の連続ドラマ小説を見るようになったさとみ。さとみがあまロスになっていた頃、飲み会の席では「倍返しだ!」としたり顔で言ったり、「お・も・て・な・し」とジェスチャー付きで真似する男たちが街に溢れていた。

そして年末を間近に控えたある日、さとみは後輩の結婚式の二次会に出席していた。「この忙しい時期に……」と思わずにはいられないが、授かり婚のため今の時期にしないと、式を挙げるタイミングがないとのことで、この時期の挙式となったそうだ。

同期の菜々子と一緒に、会場である六本木のクロストーキョーを訪れたさとみは、ある人を見つけて動きを止めた。視線の先には潤がいたのだ。

「うそ、なんで」

さとみの驚いた声を聞いて、菜々子もさとみの視線の先にいる潤に気付く。二人は目を合わせて、確認し合った。

「あれって、そうだよね?」
「うん、潤君だよね、絶対……。」

そんな事を言い合い、潤に間違いないことを確信した。

「声、かける?」

菜々子がさとみの顔を覗き込みながら言った。昔の恋人と偶然出くわす確率はどれほどなのか、さとみにはわからないが、互いに港区の近い場所で生活しているのだから今までこんな機会がなかった事の方が、奇跡だったのかもしれない……。さとみはそんな事を考えながら、久しぶりの再会が今日で良かった、とも思っていた。

なぜなら今日は結婚式の二次会。ドレスもヘアメイクも完璧だ。別れた男に「やっぱりコイツとは別れて良かった」と思われるなんて、そんな悲劇はない。

32歳になったさとみは、若さを武器にしない。洗練された大人の女としての色気を持ち、自分に自信がある。今の自分を見せつけたい気持ちもある。

「ねぇ、どうする?」

菜々子がもう一度聞いた。さとみは自信たっぷりの笑みを浮かべてにこりと微笑み、視線だけを潤の方に送る。自分から声をかけるつもりはないらしい事を悟り、菜々子は呆れながらも可笑しそうに笑った。

それからさとみは、時折潤へ視線を送りながら、菜々子と一緒に同僚たちとの歓談を楽しんだ。潤も同じように、楽しそうに喋っている。さとみに気付いているのかはわからない。余興のゲームが始まろうとした頃、さとみは一人で化粧直しに向かった。

「さとみ……」

さとみは懐かしい声で後ろから呼ばれ、一度足を止めると準備万端とばかりに後ろを振り返り、驚いた表情を作った。

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