SPECIAL TALK Vol.5

~囲碁の盤面には経営の縮図がある。リーダーを目指す方こそ、挑戦して欲しい~

小学4年から日本代表に世界を相手に戦い、プロの世界を意識

金丸:実際にプロになることを意識したのは、いつ頃なのでしょうか? 囲碁を始めた小学校低学年からプロを目指していたわけではありませんよね。それとも、もう目指していたのでしょうか?

万波:本格的には小学校4年生ぐらいからですね。それまではプロの道もあるんだな、としか思っていませんでした。

金丸:そんなに早くから、プロを目指していらっしゃったのですね。何かきっかけがあったのですか?

万波:そうですね。4年生頃から、いろいろな大会の代表になり始めたのがきっかけです。

金丸:どのような大会だったのでしょうか?

万波:ひとつはアジア大会ですね。日本、中国、韓国、台湾の団体戦です。もうひとつは、世界大会です。日本の中でも2人しか出られないような大会でした。

金丸:その時点で、すでに日本代表に選ばれ、世界を体感し、プロの世界を意識していたのですね。そもそも囲碁のプロになるには、どのような条件があるのですか?

万波:まず年齢制限がありまして、日本棋院の棋士採用試験では23歳未満(※)となっています。

金丸:年齢制限があるというのは、珍しいですね。

万波:囲碁の世界では、義務教育が終わり次第、囲碁の道に入ります。中学を卒業して、一心不乱にプロを目指して……。でもなれなかった場合に、就職が困難になってしまうというのが理由のようです。特に男性ですね。そういった事情もあって、制限が設けられているようです。ただ、現状年齢制限はないほうがいいのではないかという話があり、私も賛成しています。アマチュアでも強い方は多くいらっしゃいますし、結局プロになるかならないかは、囲碁と出合うのが遅いか早いかだけの問題だと思っています。もっと囲碁の間口を広げてもいいのではないかと思います。

金丸:アマチュアの人でも、要は勝てばいいわけですからね。

自分をブレイクスルーしたメンタルの成長

金丸:これまでで特に印象に残っている戦いはありますか?

万波:プロ試験のときの一局です。プロ試験に合格するには、合同予選と本戦を勝ち抜かなければなりません。本戦は6〜10名でリーグ戦を行い、1名のみが採用となります。その2局目か3局目だったと思います。当時の私は非常にメンタルが弱くて……。

金丸:それは意外ですね。

万波:当時はちょっとでも形勢が悪くなると、諦めてしまうことがありました。苦しくなると早く終わりにしたくて、投げやりな手を打ってしまうことが多々あって……。なので、メンタルを鍛えるために韓国に修行に行きました。当時の韓国は世界一強い国でしたし、外国人を受け入れる囲碁道場があったからです。帰国してからプロ試験を受けました。そのときも形勢が悪く、これまでの自分であれば諦めてしまうような状況でしたが、1時間ほど耐え抜いて、考えに考えたところ、突然光が射した瞬間があったんです。これが起死回生の一手になり、一気に形勢逆転できました。たぶん、今までの気持ちが弱い自分だったら、その手は打てていなかったはずです。メンタルの成長が、自身の向上につながった。そういう意味で、非常に印象的な対局でした。

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