学歴カレンダー Vol.17

学歴カレンダー最終回:慶應ガール、絵理奈31歳。「恋人は最低でも早慶レベル」は幸せへの道なのか?

神奈川県の公立高校から、慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、丸の内の大手人材会社に勤める絵理奈(31)。周りの友人たちは“恋愛対象になるのは最低でも早慶レベル"と口を揃え、その言葉を証明するかのように42歳の「元」慶應ボーイ・芹沢コスパ重視の一橋卒・淳一郎など様々な学歴の男性とのデートを試みる。

その中でも東工大卒の健二の誠実さに惹かれ付き合うが、女心が分からない彼に我慢ができず別れてしまう。その後京大卒の慎太郎の紹介で、遊び人風の同志社卒の裕太とデートするが、彼が想いを寄せるのは親友の美和子だった。

そんな裕太との関係を清算した後、一目惚れしたのが早稲田卒の文学青年・春馬。ロマンチストな彼と濃密な日々を過ごすが、寂しがりやの彼に浮気されてしまう。傷心のまま行った慶應時代のゼミの同窓会で、総合商社勤務の純平と再会し、付き合うことになる。しかし、有名な鉄鋼商社の跡取り息子となる彼がいる世界に違和感を感じ始め……?


「彼氏がいるのに期待してしまったバチだ……。」大外れだった食事会とは


帝国ホテルでの誕生パーティー以来、純平とは距離を置いていた。そんな時に美和子から誘われた食事会。他の男性を見れば改めて彼の大切さが分かるかも、そう言い訳しながら本心は羽を伸ばして遊びたい気分だった。

食事会当日、15分遅れて店に着いた途端、来たことを一瞬で後悔した。店は六本木5丁目の雑居ビルの地下にある無国籍料理屋で、周りは大学生に毛が生えたような若者ばかり。女性陣は明らかに浮かない顔だ。

「彼氏がいるのに期待してしまったバチだ。」心の中でそう呟きながら、この店で1番高いシャンパンを注文した。大外れの食事会では、相手に良く思われようとする必要がない。この際だから大いに楽しもう、そう気持ちを切り替えた。

男性陣は、大手自動車メーカーの広報部の男性を筆頭に、デザイン会社の社長と代理店勤務の若い男が2人、という面々だった。1番若い代理店勤務の男は下座に座り、クライアントの機嫌を損ねないよう必死に働いていた。

その日は女性陣の好き勝手な話で盛り上がり、一次会でお開きになった。終わった途端全身にどっと疲れを感じ、美和子との反省会も早々に切り上げ帰宅した。

“慶應らしさ”を拒否しながらも、普通のレベルではもう満足できない?


翌日は純平と約束があった。「塾高時代(慶應義塾高校)の友人が家に遊びに来るので紹介したい。」と言われていた。

その集まりは、ほとんどが女性同伴だった。女性陣は皆体のラインが出るラップワンピースを身に纏い、髪は毛先まで綺麗に巻かれていた。男たちの多くは総合商社や外資系証券会社勤務。余裕のある暮らしぶりが滲み出ている。

自分も慶應出身でありながら、こうした“THE慶應”の集まりに来ると途端に居心地が悪くなる。

「私のベースは、Tシャツとジーパンで過ごした高校時代に作られたんだ。」

ワインで悪酔いした頭でそんなことを考えた。しかし、それは綺麗ごとだと分かっていた。デートでチェーン店に連れて行かれたら興ざめするし、Tシャツとジーパンも当時の10倍の値段のするものしかクローゼットには入っていない。

そんなことを考えていたら、携帯が鳴った。昨日の食事会で、女性陣そっちのけで働いていた健太郎からだった。歳は3つ下の27歳、IT系の広告代理店に勤めていると言っていたはずだ。

彼は切れ長の目が特徴的で綺麗な顔立ちをしていた。浅黒く灼けた肌は少し粗野で奔放的な雰囲気があり、独特の色気を醸し出していた。年下ということもあり最初から相手にしていなかったが、店を出るときに、「僕も代々木上原の近くに住んでいるんです。」と嬉しそうに言いに来たことは憶えていた。

そのLINEには、昨日のお礼と共に「絵理奈さんはとても面白い人だと思いました。」という一文が添えられていた。面白いと言われて喜ぶ女性はいるのだろうか。これだからゆとり世代は困る。そう思いながら、「昨日はありがとうございました。」という一文とスタンプだけ送っておいた。

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