悲しい夜。眠れない夜。寝たくない夜。
さまざまな感情に飲み込まれそうになる夜にも、東京では美食がそばにいてくれる。
ディナータイムのあとに、自分を甘やかす“罪の味”。
今夜、あなたも味わってみませんか──?
「今夜、罪の味を」一挙に全話おさらい!
第1話:大好きな彼に交際半年でフラレた女。未練がある女が、夜に足を運んだ場所
白湯のマグカップを置いた私は、冷静を装いながら理由を尋ねる。
取り乱さない理由は、私はもう、あの頃のぽっちゃりしていて垢抜けなかった“廣田さん”とは違うから。
元読モで、元インフルエンサーで、芸能人みたいにスタイルがいい、自信に満ち溢れた“市子”だからだ。
だけど…。つぎに豪くんが放った言葉を聞いた瞬間、私の心はバラバラになってしまった。
「一緒にいても、幸せになれないから」
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第2話:「デート相手はいるけど、好きになれない」満たされない28歳女の心を埋めるのは、彼ではなく…
「あ、ごめん…!主人が帰ってきちゃったから、切らないと。また今度ゆっくり聞かせてね」
“主人”。そのフレーズが早紀の口から出てきた時、私の胸がちくんと痛んだ。
通話がオフになる寸前、早紀の背後にうつりこんだ見覚えのある姿…。
それは、先ほどまでオフィスで時間を共にしていた、向井さんだ。
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第3話:「子どもが生まれてから、夫婦の間に溝ができた…」28歳妻の孤独な夜
言われた通りにリーデルのロックグラスに氷と山崎12年を注いで提供すると、六郎さんはそれを、何かに急かされるようにすぐに飲んでしまう。
そして、「今日も菜奈には会えなかったな〜、編集業はつくづく家族サービスには向かない仕事だよ」とかなんとか言いながら、さっさとバスルームへ消えてしまうのだった。
彼なりに、毎日帰りが遅くなることにうしろめたさを感じているのかもしれない。
私だって3年前までは同じ会社にいたのだし、六郎さんの仕事ぶりをすぐそばで見ていたのだから、もちろん彼の忙しさは理解できているつもりだ。だけど…。
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第4話:「え、もう新しい彼女?」別れて1ヶ月で元彼のデート現場を目撃した女のリアル
22時を過ぎているというのに、新宿の往来はまだ、国籍を問わず多種多様な人々で賑わっている。そして私の視線は放っておくと、そんな人混みの中から自動的に、豪くんに背格好が似た男性を探し出してしまう。
あの人の後ろ姿。あの人の歩き方。それに、通りの向こうの、小柄で可愛らしい女性と親しげに歩いているあの男性も、豪くんによく似ている───。
と、そう思った時だった。
しくしくと痛むばかりだった心臓が、バクン、と小さな爆弾のように弾けたような衝撃を覚える。
他人の空似…ではない。向こうを歩くあの男性は、豪くん本人だ。
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第5話:23年間彼氏ナシの総合商社勤務の女。社内の忘年会を抜け出して、男の先輩と初めて向かった先は
栞ちゃんは気がきく。栞ちゃんは可愛い。それが、私が職場で言われる言葉トップ2だ。
どっちも間違いなく私を褒めてくれる言葉だし、言われれば素直に嬉しい。だけど、それらの言葉が持つ本当の意味は、私にだってわかる。
“世間知らずのお嬢様は、何にもしなくていい”。
総合商社という厳しい世界で私に求められるのは、みんなのサラダを取り分けることと、可愛く微笑んでいることだけなのだ。
だって私は、コネで商社に入ってきただけの役立たずだから。
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第6話:「好きになれたらいいのに…」何度デートを重ねても年下男子にときめかない28歳女性の本音
ハリーはずっと、私のことを好きだと言ってくれている。
私はずっと、覚悟が決めきれずにはぐらかしてばかりいる。
だけど、ハリーは優しくて、一緒に食べるご飯は美味しくて、そばにいると穏やかな気持ちになれるから…ついついこうして会い続けてしまうのだ。
たとえ、心の中に他の人がいても。
そんな関係を“友情”と呼ぶ人は、きっとあんまりいないと思うから。
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第7話:お受験幼稚園ママ友のクリスマスパーティー。留守がちな夫の話題で盛り上がる夜
私と六郎さんは、恋人同士から急にパパとママになってしまった。解決法は見つからないまま、相変わらず私は鬱憤をSNSで晴らし続けている。
実は、「カヌレの約束を忘れられた」とThreadsに書き込んだあの日からずっと、六郎さんとの会話はめっきり減ってしまった。
翌日酔いから醒めた六郎さんに何度も謝られたけれど、その「ごめん」は、私にとってあまり意味をなさない。
私が楽しみにしていた約束は、六郎さんにとっては特別楽しみなものではなかった。どれだけ謝られたって、それは事実なのだから。そこにはただ、深い“溝”があるだけ。だから──。
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第8話:22時、彼からの呼び出しに喜んでついて行った女。 しかし、期待していたような展開にはならず…
曲の内容が、なかなか振りむいてくれない男性にむけての気持ちを歌ったものだったことにも奇妙な偶然を感じていたし、女性の方から大胆にアプローチしたっていい…といったメッセージには勇気をもらえるところもある。
すっかり覚えてしまった歌詞を口ずさみながら、私はさらにインスタも立ち上げる。
だけど、次の瞬間。せっかく曲のサビがやってきたというのに、私の口から出てきたのは歌詞ではなく、「あっ!」という驚きの声だった。
だって、インスタを開くなり目に飛び込んできたストーリー…。それは他でもない、豪さんのものだったのだ。
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第9話:「LINEブロックされてる?」復縁したい元彼に勇気を出してメッセージを送ったら、未読スルーされ…
未読スルー。考えられる理由はただ一つ…。
…と、それ以上考えを進めることができなくなった私は、気づいたときにはメッセージを取り消していた。吐き気と動悸に襲われたのは、珍しく飲んだお酒のせいじゃなかった。
だって、恥をかく準備はできていたけど。当たって砕ける覚悟はできていたけど。
まさか、ブロックされるくらい完全に嫌われているかもなんて───。そんなのあまりにも恐ろしすぎて、とても受け止められそうにはなかったから。
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第10話:「夫とデートなんてずっとしてない…」結婚3年、冷えきった夫婦関係が改善したきっかけとは
六郎さんがチョコレートケーキを買って来てくれたクリスマスの夜。久しぶりにゆっくりと話す時間を持った私は、思っていることを全て、しっかりと六郎さんに伝えることにした。
「私、どうしても働きたい。菜奈の幼稚園は預かり時間も短いし、これから小学校受験が控えてるのもわかってる。
それでも私、できる範囲でいいから何かして社会と繋がっていたいの」
そう真剣に伝えると、六郎さんは意外にも本当に驚いたような表情を浮かべて言ったのだ。
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第11話:「最近、妻とうまくいってないんだ」憧れの彼に意味深な告白をされた女は…
あの夜。ハリーが私に「拜拜(バイバイ)」と言ったあの夜。まさか向井さんから電話がかかって来るなんて思わなかった。それにそのあと、あんなふうに会うことになるなんて…。
「はい、ビールお待たせいたしまたぁ」
4杯目のビールはあっという間に提供されて、まだメインの鍋も始まっていないというのに、私はじゃがいもとチーズのチヂミ・カムジャジョンをつまみに来たばかりのビールで喉を潤す。
同僚と会話しながら、すでにほのかに酔いが回り始めた頭で思い出すのは、3週間前のクリスマス前。向井さんから電話がかかってきた夜に起きたことなのだった。
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第12話:初デートも2回目も、いい雰囲気でも2軒目に行かずに解散する男。その理由とは?
「お鮨は美味しいです。でも、はっきり言いますよ。私、豪さんとデートがしたいんです!」
深夜のお鮨屋さんで、みんなの前で大声で豪さんを誘ってから1ヶ月。
その時の周りのお友達の方々からの後押しもあり、豪さんは「俺でよければ」と快諾してくれたのだ。
それからは実際に、2回もデートに行くことに成功している。
それなのに…一体何がいけないのか?その2回とも、どうにもこうにも思うように進まないのだ。
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第13話:「考えさせて」と彼に突き放されて3週間。深夜の呼び出しで知った、男の本音とは
深夜の鎌倉。豪くんのハリアー。シートのコーヒーのシミ。カップホルダーのガムのボトル。
「私はまだ豪くんが好き。もう一度、戻れない?」
そう尋ねた私に、豪くんが悲しい顔で返した「ごめん」の一言。
そして──。その後に続けた、短い言葉を。
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第14話:バレンタインデーが憂鬱。渡したい人もいない、30歳独身女の本音
「クマちゃん。覚えててくれたんだ、嬉しい。遅くに突然ごめんね」
この部屋でクマちゃんの手作りのインド料理を、ハリーと一緒にご馳走になった日が、ものすごく遠い昔のことのように感じた。
だけど今は、そんなノスタルジックな回想も焦りをとどめることはできず、私は前のめりにクマちゃんに問いかけるのだった。
「突然来ちゃってごめんなさい。ねえクマちゃん、あの…。ハリーって、もう韓国に行っちゃったのかな」
― お願い。どうか、部屋の奥にいて…!
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第15話:デート帰り、タクシーの中で「まだ帰りたくない」と23歳女が伝えたら…
実家では、洗い物はいつも母か時々来るお手伝いさんのイトウさんがやってくれていたし、食洗機だってあった。ぎこちない手つきと、なぜだかびしゃびしゃになってしまうエプロンには、我ながら呆れるしかない。
けれど、「これからは、全部自分でやるんだ」という強い決意だけが、ここ1ヶ月半の私をがむしゃらに突き動かしていた。
そう。4月を目前にして、季節はすでに春を迎えていた。
豪さんと焼き鳥デートをしたあの夜から、1ヶ月半の月日が経っている。そして私はその1ヶ月半の間、一瞬たりともあの夜の出来事を忘れたことはない。
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