◆これまでのあらすじ
大好きな豪の自慢の彼女でいるため、20時以降は何も食べないダイエットをしていたのに振られてしまった市子。
人には言えない失恋の傷が癒えず、新たな恋に踏み出せないでいる双葉。
そんな双葉の想い人だった六郎と結婚したものの、主婦として閉塞的な日々を過ごす早紀。
そして、豪への恋心を抱き始めたお嬢様、栞──。
それぞれの想いが交錯するなか、次なる深夜の美食は…。
▶前回:「好きになれたらいいのに…」何度デートを重ねても年下男子にときめかない28歳女性の本音
Vol.7 <早紀:表参道のチョコレートケーキ>
サンタクロースを信じていたのは、何歳のときまでだったっけ。
子どもたちの声が響き渡る部屋で、私はひとり密かにそんな野暮なことを考える。
たしか…小学校4年生の頃。
その頃学校で流行っていたピンクのたまごっちが欲しくて、サンタさんに手紙を書いて───そして、父のクローゼットでプレゼントを見つけた。
あれが、サンタさんの幻想が壊れた瞬間だった。そして、純粋な気持ちで迎えるクリスマスが終わった瞬間でもあったのだと思う。
それからのクリスマスは、ただ家族でご馳走を食べるだけの日。
大学生になると恋人とデートをする日になったけれど、当時付き合っていた彼氏はあんまりイベントごとが好きではなかったから、あえて部屋でお鍋をしたりして過ごしたっけ。
そして今。
28歳の私は、ツリーやガーランドで飾り付けたマンションのパーティールームで、幼稚園児たちの世話をしている。
娘の菜奈の幼稚園のお友達を呼んでのクリスマスパーティー。
赤のドレスコードで集まった小さなサンタクロースたちは、ケーキを前に目を輝かせていて、そんな子どもたちを見ているのはすごく幸せだ。
だけどその一方で、ふとこうも考えてしまうのだ。
サンタクロースは、菜奈のもとにやってくる。私のところにはもう来ない。







この記事へのコメント
あの電話で双葉ちゃんに早紀との約束すっぽかした件を相談して提案されたのかもしれないね。
別に皆と同じようにうちのパパ言わなくてもいいと思う。面倒くさそうなママ友たち。 話の内容は良かった!今日だけでなくこれからも妻に優しく&山崎は自分で注げ!