美食激戦地である東京には、若き才能が溢れている。
“巨匠”“レジェンド”と呼ばれる存在から愛されるシェフたちには、技だけではない、たぎるような熱量があった。
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1966年、北海道生まれ。六本木『オー・シザーブル』等を経て渡仏。帰国後、表参道『アンフォール』のシェフを約3年務め、2000年に『ル・ブルギニオン』を開店。ワイン通な一面も。
1.『ル・ブルギニオン』菊地美升氏が注目するのは……
『ビストロ ヌガ』@銀座の梅津亮平さん
「オーナーや部下からも厚い信頼を寄せられる期待のシェフです」
正統派クラシックフレンチにして、食後感の軽やかさが評判の六本木『ル・ブルギニオン』。オーナーシェフの菊地美升氏が一目置くのは、銀座『ビストロ ヌガ』の梅津亮平シェフだ。
「ステーキアッシュやブイヤベースなどフランスのビストロを彷彿とさせるアラカルトメニューが楽しい。スタッフの動きもいいし、店に活気がありますね」とは菊地シェフ。
自身も『フロリレージュ』の川手寛康シェフなど多くの名料理人を輩出してきただけに、8年前から料理長を務める梅津シェフの人材育成の手腕も高く評価しているそう。
「60種類を超えるクラシックなビストロ料理は思わず心が躍ります」
「グランドメニュー60種に加え、旬のメニューもある中で、ランダムに入るオーダーをこなすにはスタッフのチームワークが何より大切」と梅津シェフ本人も語る。
皿から溢れんばかりの“メリメロサラダ”に具とスープが別々で供されるブイヤベースなど、料理はいずれもボリュームたっぷり。
ストレートな美味しさが身上だ。が、クリアな旨みが光る魚のスープなどワインを意識した繊細な味わいも魅力。
豊富にそろうワインと共に菊地氏が魅了される所以でもある。
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1957年、兵庫県生まれ。神戸『アラン シャペル』、銀座『リストランテ ハナダ』を経て渡伊。帰国後青山『リストランテ山﨑』を経て、90年『リストランテ アクアパッツァ』をオープン。
2.『リストランテ アクアパッツァ』日髙良実氏が注目するのは……
『ess.』@渋谷の北野敏庸さん
「一見もの静かに思えても、関西人らしい明るさが潜んでいるのも魅力です」
「広尾の『イル・テアトリーノ・ダ・サローネ』に食事に行った際、シェフを務めていたのが北野敏庸さんでした。食材の組み合わせ方やハーブの香りの効かせ方にセンスを感じましたね」と語るのは、青山“アクアパッツァ”の日髙良実氏。東京イタリアンの草分けでもある業界の重鎮だ。
件の北野シェフが、同じサローネグループの山口智也シェフとWシェフ体制で始めたのが神泉『ess.』。
「素材やハーブの効かせ方など、ひと皿にストーリーが詰まっているのが面白い」
「近々、ぜひ伺いたいと思っています」という日髙氏。楽しみにしているのはパスタだそうで、その期待を裏切らず、アラカルトメニューにはパスタが満載。冷製から手打ちまで約15種がそろう。
北野シェフによれば「パスタは麺とソースの組み合わせ次第で如何様にも表現ができる。そこが楽しい」とのこと。
おなじみのキャビアの冷製パスタも、隠し味に白エビを加えてねっとり感を出し、ソースに絡みやすくするなどさりげないひと手間にセンスが光る。
「カルパッチョ」¥4,000(価格は2名分)。
イタリア版魚醤のコラトゥーラでマリネしたカツオに、ストラッチャテッラやトレビスをトッピングしたひと品。
イタリアンながらワインはフランスが半数を占め、写真左のエシェゾーなどグランヴァンもそろう。
中央はシャンパンのグランサンドレ、右はソアベのPRA。
「クリエイティヴな中にイタリアンの本質がきちんと伝わる料理を目指していきたい」とは北野シェフ。
その有り様は往年の日髙氏を思わせる。
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1951年、京都府生まれ。京都・祇園で三代続く老舗料亭『菊乃井』主人。和食のユネスコ無形文化遺産登録に向けて尽力したことでも知られる、日本料理界のレジェンドのひとり。
3.『赤坂 菊乃井』村田吉弘氏が注目するのは……
『鮨 みうら』@赤坂の三浦健太さん
「柔らかい物腰しと職人らしい実直さが、多くの人を引きつけます」
日本料理を次の世代に受け継ぐことに人生をかける重鎮にとって“子”の活躍は、なによりうれしいことだろう。
多くの職人を輩出してきた『菊乃井』の村田吉弘氏が「握りはもちろん椀物、焼物にも高い技術と真心が感じられる」と太鼓判を押すのが『鮨 みうら』。
店主の三浦健太さんは、子どもの頃からの憧れだった鮨職人を目指すべく「基礎となる和食の一流を学びたい」と村田氏のもとで13年、その後、鮨店で腕を磨き独立を果たした。
「和食の世界で磨いた技が、隅々にまで生かされた唯一無二のコース」
まっ先に開店祝いに駆け付けた村田さんは「料理屋がする鮨店の仕事」に感服。
丁寧に出汁を取り、和食の伝統的な調理法である炭を用いた一品など、日本料理と向き合う姿勢が息づいたコースに心が満ち足りたと話す。
琵琶湖の鮎は、塩焼きにしたものを、最後に炭の香りを纏わせて握りに仕上げる。
鼻孔をくすぐる薫香がほろりとした苦みに重なり、馥郁たる気持ちに。
「薄い皮をそぎ、とても繊細に包丁を入れたイカの握り」も、心に残っている一貫。
“親”の教えを守りながら誠実に自身の道を開く姿が常連の心をも掴んでいる。
「温厚で人に好かれる性格。頼りなげなところが可愛がられる理由かな」
親の愛情は海より、深い。
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1968年、東京都生まれ。20歳で『赤坂 四川飯店』に入社。陳 建一氏の右腕を務め2008年総料理長に。2018年には自身の集大成『4000 チャイニーズ レストラン』をオープンし話題に。
4.『4000 チャイニーズ レストラン』菰田欣也氏が注目するのは……
『現代茶寮 銀座凮月堂』@銀座の槙 紫音さん
「自身の20代と比べれば尊敬の念すら抱くほどの熱量とセンスです」
料理を作ることと美味しいものを食べること、それが生きがいという菰田欣也氏。
その中華の巨匠が感銘を受けた若き料理人が『現代茶寮 銀座凮月堂』の槙 紫音シェフだ。
「クラシックな技術と若さならではの新しさが共存する魅力があります」
知り合いの料理人からクラシックフレンチに情熱を注ぐ若手シェフがいると聞き、早速店を訪れた菰田氏は「伝統的な技法を忠実に再現しつつ、現代的な感性を取り入れた料理が印象的でした。特にパテ・アンクルートは、食事をしながら拍手を送りたいほど感動させられたものです」と熱く語る。
さもありなん、その“パテアンクルート”こそ、槙シェフが情熱を注ぐ渾身の逸品なのだ。
「この料理には、フレンチの歴史と技術が集約されている。そこに惹かれますね」とは槙シェフ。
パテに限らず、連綿と継承されてきた伝統料理には一朝一夕では成しえぬ深さと説得力がある。
『ル スプートニク』『ロオジエ』とモダンフレンチ畑を歩きながらも、独学でクラシックを学んだ槙シェフの想いもそこにあるのだろう。
デザートの「甘夏と八朔のミルクレープ」。チョコレート生地と柑橘のクリームを重ねた繊細なひと品。グラスショコラとキャラメルのガナッシュ、甘夏と八朔のコンポート添え。
写真の料理はすべて¥16,500コースから。
伝統を守りつつ盛りつけや素材の組み合わせに現代的な趣が漂う。古くて新しい令和のクラシックをぜひ。
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