日々、魚に真剣に向き合う鮨職人にとって、火を操り完成される肉の世界は、力をたぎらせ、刺激をくれるもの。
彼らが信頼を寄せる焼肉店は、素材への覚悟を持つ珠玉の店ばかりだった。
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『銀座 鮨青木』の2代目店主。61歳。埼玉県出身。大学を卒業後、1年間アメリカに遊学。帰国後、京橋の名店『与志乃』で修業を積み、29歳で店を継ぐ。
1.店主の働く姿にリスペクトが湧き、職人としての仕事の活力を得る
『ゆうじ』@渋谷
“食に向き合いながらカウンターで眺める光景がとても大好きです”
創業53年を迎える銀座きっての老舗『銀座 鮨青木』。江戸前の仕事を守りつつ、進取の気性に富んだ2代目主人・青木利勝さんが選んだ一軒がここ『ゆうじ』だ。
鮨界の重鎮だけあって焼肉店も王道を貫く斯界の名店。定石を踏みつつも、常に焼肉の新たな可能性を探求し続ける樋口裕師さんの真摯な姿が印象的だったとか。
「いまは亡き『海味』の長野さんに誘われたのがきっかけですね。無心に肉に向き合う裕師さんの姿を見ていると自分も頑張らなきゃと元気が湧いてきます」と青木さん。
『ゆうじ』の焼肉は、氏にとって心身を満たす活力源なのだろう。
その『ゆうじ』も今年で35年。裕師さんは、これまでに約2千軒以上の焼肉を食べ歩き、焼肉はどうあるべきかを自らに問い続けてきた。
その結果が「原点回帰。肉割烹的なことなどいろいろやりましたが、結局オーソドックスなスタイルに帰ってきた」大切なのは上質な肉と丁寧な下ごしらえ、そして各々の肉質に合わせた熱源と語る。
正肉と内臓では網台を替えたり、内臓や肉の部位によってタレの味を調整するなど細部にわたる気配りが、一見普通の焼肉を唯一無二の逸品に仕立てあげている。
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15歳で鮨職人を志し、自由が丘の『鮨幸』へ。30歳で自身の店『鮨 尚充』を開店。修業で培った技術に加え、ユニークなプレゼンテーションでも人気を博す。
2.何十年も通い続けて毎回、悶絶。米沢牛300gの迫力たるや!
『米沢屋』@自由が丘
“20年以上のお付き合いで、お店の方からいつも元気をもらっています!”
牛の銘柄を前面に押し出す焼肉店が多くはなかった25年前から、米沢牛ひと筋。
『米沢屋』の厨房で肉を切る女将の平川美佐さんは「お客さんに喜んでほしくて、気がついたら厚切りになっていた」と嬉しそうに笑う。
単一の品種を扱う店の強みとプライドの塊とも言える300gのうちももの焼肉。
こちらに修業時代からパワーをもらい続けているのは、魚の目利きや握りの技に加えて、類いまれなるパフォーマンスのうわさを聞きつけ、海外からも多くのゲストが訪れる中目黒『鮨 尚充』の安田尚充さんだ。
「自由が丘の『鮨幸』で働いていたときからなので、20年以上のお付き合いです。女将さんやスタッフの青井くんの明るい接客にいつも元気をもらっています」と安田さん。
店でかならず注文するうちももは網の上でじっくりと焼き上げて、カットした肉を頬張れば米沢牛特有の甘い脂が口内に広がり、全身が幸福感に包まれる。
たっぷりの山わさびを溶いた醤油につけて食べるのが安田流。
大きな塊肉と、店で過ごすひとときが独自の鮨道をひた走る職人のモチベーションを支えている。
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宮城県出身。44歳。和食や都内一流ホテルの鮨職人を経て銀座『はっこく』にて2番手として活躍して注目される。2022年に『東麻布 さいこう』をオープン。
3.深夜の美しきカウンターで、上質な肉とホスピタリティに心酔
『焼肉神石 西麻布』@西麻布
“同業の料理人にも自信を持って薦められる西麻布の隠れ家です”
「こちらの好みを丁寧に聞きながら肉を選んでくれるなど、食べる側に寄り添う姿勢がとても嬉しくなります」と、江戸前鮨の伝統を重んじつつ陽気な接客で人々を魅了する齋藤 淳さんが好んで通う『焼肉神石 西麻布』。
ここでいただけるのは出荷数が極めて少なく“幻の和牛”と冠される「神石牛」。
その中でも自社の丹下牧場で丹念に育てた、格別のクオリティを誇る「丹下牛」を扱う。
料理はもちろん、産地に徹底的にこだわる姿勢やカウンター越しに相手を思いやる接客が、齋藤さんの心を捉えているという。
「スタッフの肉に関する知識が豊富で、しっかり説明してくれますし、一番美味しい状態で提供してくれるんです。それに店の雰囲気も素晴らしい」と厚い信頼を寄せる。
カウンターは、スタッフが目の前で肉を焼くフルサービスで、一枚一枚が完璧な火入れで仕上げられる。
齋藤さんは営業後に同業の料理人と訪れることが多く「深夜まで営業してくれるのはありがたい」と話す。この行き届いたホスピタリティに触れることもまた『東麻布 さいこう』の接客に生かされているのだ。
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東京都出身。37歳。金沢の鮨店で修業後、26歳の時に青山『海味』に。先代の急逝後、2代目として4年間暖簾を守り、2019年青山『鮨 龍次郎』で独立。
4.いま、話題を集める焼肉店で極上のタンに舌鼓を打つ
『焼肉ホルモン金樹』@赤坂
“チームの結束を高めるべく、営業後に足を運ぶことが多いです”
SNSで店の存在を知り、その美味しさにたちまちとりこになったという中村龍次郎さん。
以来、営業後に、若いスタッフの面々と通っているそうで「夜遅くまで営業されていて助かります。行くと必ずいただくのは、生タン、特選レバー、ホルモン盛りあわせ。中でもタンは程よく脂がのっていて美味しいです」と話す。
その言葉どおり「特選生タン塩」は『焼肉ホルモン金樹』一推しのメニュー。ご主人の金 樹延さんが、仕入れからカットの厚さにまで気を配った逸品だ。
金さんいわく「タンは張りと太さがポイント。特選はタン元の一番いい部分だけを厚さ2〜3ミリ程度にカットしています。薄すぎず厚すぎずがベストですね」とのこと。
艶やかな真紅のタンは潤いを帯び、焼き上がりは香ばしくジューシー。柔らかさの中にも歯切れ良く、小気味良い食感の中、旨みが口中を凌駕する。
また、ホルモン好きな“龍次郎”の2番手特注の裏メニュー!?「ホルモン盛りあわせ」も、仕入れ力と下ごしらえが決め手のひと皿。
店の実力がうかがえる質の高さだ。
― Recommender ―
大学を卒業後『鮨匠 岡部』へ。鮨のケータリングなどを経験したのち、28歳で麻布十番に『すし道』を開店する。2015年に店名をあらため現在に至る。
5.夜更けまで鮮度抜群のホルモンにありつける麻布十番の止まり木焼肉店
『新鮮ホルモン ランボー』@麻布十番
“種類豊富なホルモンのパンチの効いた味付けが、疲れを吹き飛ばしてくれます”
創意あふれるコースで人気の『秦野よしき』を営み、鮨業界の第一線に立つ秦野芳樹さん。スタミナをつけたいときに足しげく通っているのが自身の店と同じ麻布十番にある『新鮮ホルモン ランボー』だ。
「麻布十番の夜は意外と早いのですが、その中で深夜でも仕込みが行き届いた新鮮なホルモンを食べられるのが嬉しい」と話す。
牛と豚のホルモンを扱い、中目黒や恵比寿にも店を構える人気店。営業後でも片付けや翌営業日の準備に余念のない秦野さんにとって、店から徒歩圏内にある焼肉店は頼もしい味方だ。
「味付けがはっきりしている点が勉強になります。火入れをしないフレッシュなつけだれもやみつきに。
リピートしているのはコチュジャンや、タイの唐辛子でバシッと辛くされた『赤辛ホルモン』です。卵黄に絡めると辛さがマイルドになるので気に入っています」
幼少期はあまり体が強くなかったという秦野さんだが、体力と精神力を鍛錬。最大限のパフォーマンスを発揮するため、スタミナ補給は必須。
深夜も営業する焼肉店で過ごす時間が、明日への力につながっている。
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