2、大人の味覚に応える一杯。その裏にあるジンの魅力
中村「『GINON』の全体的なコンセプトは、どのようにして生まれたんですか?」
町田「コロナ禍で家飲みが主流になったことや、健康志向により低糖・低アルコール化が進む中、RTD※が世界的に人気を集めています。僕たちも、ビールに変わるRTDを1つの選択肢として提供したいという思いが強まっていたところでした」
※Ready To Drink=フタを開けてすぐに飲める、低アルコール飲料
中村「コンビニのお酒コーナーに行くと、たくさんのRTDが並んでいますね」
町田「ただ、いわゆるイケオジな方々にインタビューしてみるとRTDは『人工的な味がする』、『お酒というよりはジュースみたいなもの』というイメージがあり、私たちはこだわり志向の方にもしっかり満足いただける商品をつくろう!ということになりました」
中村「その答えが『ジン』だったわけですね」
町田「そうです。ジンは先ほども言ったように製造の過程で柑橘の果皮などを加えて蒸溜するので、果実の風味が感じられるのが特長なんです。
この香りが、いわゆるアルコール臭を打ち消しながら、果実の風味が際立ち、レモンやグレープフルーツといった、柑橘本来のおいしさも楽しめるようになりました」
中村「アルコール臭…言われてみれば、確かにまったく感じませんね。だから、飲みやすいのかも。
ジンっていうと、通向けというか、苦みがあって難しい“大人のお酒”というイメージがありましたが…大人のお酒だからこそ、シンプルな中においしさを感じられるんですね」
町田「まさにそこが狙いです。果実の風味があるジンをベース酒にしているからこそ、余計な素材を足す必要がなく、大人の皆さんに喜んでいただけるRTDを完成することができたと自負しています」
――今回二人が訪れたのは、東京都中央区月島にある『酒房蛮殻』。
オーナーの大野尚人さんは独創的なメニュー・店舗開発を強みにされており、飲食業界で注目の存在。レモンサワーのポテンシャルにいち早く気付き、ジンベースのレモンサワーを先駆けて提供したことでも知られている。
そんな大野さんにも、『GINON』について語っていただくことに。
中村「大野さんから見て、ジンをベース酒にすることのメリットは何なのでしょうか」
大野「何よりも、キンキンに冷えた状態で提供できる、ということですね。ぬるいビールがおいしくないように、ぬるいレモンサワーもおいしくない。
グラスを冷やし、ベースを冷やし、ソーダも冷やし、丁寧に作ればすごくおいしくなるのに、残念ながら手を抜いているものが多い。それが嫌だったんです。
ただ、焼酎はアルコール度数が20%程度。僕たちが使用している業務用冷凍庫はマイナス20度程度なので、焼酎を入れるとシャーベット状になってしまいます。もっとアルコール度数の高いもので、おいしいお酒はないか――探した結果が、ジンだったんですよ」
町田「そうだったんですね。でも、凍らないお酒は他にもありますよね」
大野「もちろんです。しかし、ラムだとコッテリとしてしまって食中酒には合いませんし、ウォッカは逆にたんぱくになり過ぎて、トニックウォーターで割るとトニックが勝っちゃうんです。いろいろ試した結果、柑橘の相乗効果的にも、正解はジンかな、と。
もう10年以上前になるかな。『LAND BAR』でジントニックを頼んだらレモンが付いてきたんです。このジントニックをオマージュにして、僕の店のレモンサワーは完成した感じですね。焼酎はどうしても麹の香りが残るけれど、ジンは安定した味わいを実現してくれます。ジン、優秀です」
町田「大野さん、せっかくですので、一緒に『GINON』を飲んでいただいてもいいですか?」
大野「ありがとうございます。僕、実は発売されてすぐに飲んでいるんです。RTDの中ではかなり美味しいと思いましたよ。飲み飽きない味っていうのかな」
町田「ありがとうございます!」
中村「大野さんから見て、『GINON』の魅力はどのあたりにあると思われますか?」
大野「非常にスッキリしていて、料理の邪魔をしないという点でしょうか。あと、飲み進んでも、うまいと感じられる点かな」
中村「飲み進んでも…?」
大野「レモンサワーっていうのはロングカクテルの1つなのですが、ロングカクテルって、少しずつ飲み進めていって、好みの量まで飲んだときに満足感を得られるような作りなんです。そのバランス感がちょうどいいと思います。
それに、レモンサワーは酸味があることでバランスがとれているのですが、不足している味があります。それが、塩味、甘味、そして油脂(脂肪味)で、その足りないものを体が欲するんですよ。誘ってくるっていうのかな」
中村「甘味ですか。そういえば『GINON』って無糖ですね」
町田「はい。そこにもこだわりがあるんですよ」