夏の恋 Vol.21

「麻布十番祭り行かない?」好きな男性から誘われた28歳女。でも待ち合わせ場所には浴衣の女性が…

この季節が来るたびに思い出す、あの人のこと。切ない思い。苦しくて泣いた夜…。

うだるような暑い夏が今年もやってきた。

これは、東京のどこかで繰り広げられる夏の恋のストーリー。

▶前回:同棲5年目に突入…結婚したい31歳の女が彼氏との今後をジャッジした浅草デートの結末


麻布十番の夏/美鈴(28)


「あ、もしもし美鈴ちゃん?今、少し話せる?」
「うん。大丈夫だよ」

まだまだ暑い日が続く、8月後半のある日。

自宅での仕事を終え、デリバリーアプリで夕飯を注文した後、福光朔也から電話がかかってきた。

「明後日なんだけど、麻布十番祭り行かない?」
「え!行く行く!行きたいと思ってたの」

今一番会いたい人からのデートの誘いは、どんなビタミンよりも元気になれる。

でも、電話の奥がザワザワとうるさい。どうやら朔也は誰かと一緒にいるようだ。

「よかったぁ。俺の友達と、そいつが女の子も連れてくるんだけど、いい?」

― え!?…嫌だ。

と、言いたいのをグッと飲み込んで「いいよ」と返答するのと同時にインターホンが鳴った。

「あ、チキンカレー届いた!」

この記事へのコメント

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No Name
また上手くいかない恋愛話かーーと思って期待せずに読み進めたら、すごいいい話じゃない🥺 追いかけてきた彼も、おじいちゃんドライバーの気遣いも...沙羅以外みんな好印象だったし。
2024/08/26 05:1559返信2件
No Name
一話ごとに書き手が異なる連載だけど、今日のライターさん好きだなと思った。私も最近新しい出会いがあったので、すごく感情移入してしまった。美鈴のように過去の恋愛でトラウマを抱えて自信も失くしていたので自分と重なる部分も多く。 でもこのお話から勇気をもらえた気がする。
2024/08/26 05:2943
ブラボー!
一旦気持ちがどん底になり、そんな自分を惨めで滑稽にも思えて笑いたくなった…からの、急展開ハッピーエンド♡一話完結でこんな綺麗にまとめるなんて素晴らしいです。ペンネームとか似顔絵だけでもいいからライターさんの情報(過去連載含む) あればもっと良かったけれど。料理やワインを丁寧に描いているので、もしかしたら「そういうとこで振られる男」か「レストランストーリー」のライターさんでしょうか。
2024/08/26 05:5839
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