SPECIAL TALK Vol.110

~自分が飲みたい日本酒で世界に挑戦し、日本酒業界に革命を起こしたい~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。1989年起業、代表取締役就任。


日本酒だけではなく、日本文化のブランド化を目指す


金丸:TAKANOMEはグローバル展開を目指しているのですか?

平野:もちろんです。今はアジアを中心に星付きレストランや高級酒販店で販売しています。カンヌ国際映画祭やN.Y.、L.A.のイベントでも提供しました。近々ロンドンに行くのですが、現地のハイエンドレストランからも注目をいただいており、欧州地域の拠点を作り、積極的にPRも仕掛けていく予定です。

金丸:今、世界中で日本食レストランが増えていますが、それが下火になってしまえば、日本酒は押し負けてしまう。ワインやウイスキーが戦略をもとに世界中に市場を拡大している一方で、日本酒はなかなか海外に目が向いていないように感じます。日本食がブームである今がチャンスなんですが。

平野:そうですね。最近よく東南アジアにも行きますが、どんどんワインが入ってきているんですよ。本来は日本酒との相性がいい食文化なんですけど、プレーヤーが全然いないんです。

金丸:日本酒に限った話ではなく、日本文化に競争力を持たせて海外に輸出するためには、もっといろいろなことを変えていかないといけません。業界内で横を見ているだけでは、イノベーションは起きません。平野さんには日本酒業界の構造改革にぜひ挑戦していただきたいです。

平野:ありがとうございます。僕は今、経営とクリエイティブなブランドマネジメントをいかに両立させるかということに興味があるんです。

金丸:ヨーロッパはそれを両立させるのがうまいですからね。

平野:まさに。彼らは過去に築いてきたブランド価値に、ある意味乗っかってビジネスをしています。日本にも強いブランドはありますが、なぜか薄利多売に流れることが多い。たとえば、日本酒や盆栽のような日本文化とものづくり全体をグループ化していけたら面白いなと思っています。LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)がモデルですね。

金丸:それ、めちゃくちゃ面白そうじゃないですか!平野さんほどの若さで、そんな視点でビジネスに挑戦している人がいるなんて頼もしい限りです。日本の若者は起業家に興味はあっても、起業をしない人がたくさんいます。

平野:そういう話はよく聞きますね。

金丸:「マーケティングも会計も経営も分からないから、まず勉強してからやろう」と考えるので、なかなか踏み出せない。一方で、平野さんは社会人経験がほとんどないまま、いきなり起業されました。

平野:分からないことだらけでしたが、実践とインプットを何度も繰り返して、なんとかスキルを身につけてきました。

金丸:日本の課題は、まさにそこですよ。準備なんてどれだけやっても足りないんだから、まずは挑戦してみる。いくらマーケティングの本を読んだって、実践しない限り、いつまでもできるようにはなりません。

平野:本を読むのも誰かに話を聞きにいくのも、自分のなかに仮説があって、それを立証するという姿勢でないと、まともな情報収集にならないと感じますね。

金丸:日本酒業界のような長い歴史のある業界だと、壁も分厚いでしょうが、平野さんのような人が来るのを待っていて、熱心に応援してくれる人もいるのではないでしょうか。

平野:僕たちのやっていることには、賛否両論あると思いますよ。

金丸:賛否両論で十分です。もろ手を挙げて賛成される事業なんて、リスクを取らないぶん、伸びしろもありません。今後、TAKANOMEと平野さん、そして日本酒が世界に羽ばたいていくのを心から楽しみにしています。今日は本当にありがとうございました。

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