SPECIAL TALK Vol.110

~自分が飲みたい日本酒で世界に挑戦し、日本酒業界に革命を起こしたい~


新橋の居酒屋で日本酒との運命的な出合い


平野:まず英語がまったくできなかったので、1年くらいフィリピンに留学して、それから渡米しました。でもアメリカにいたのは1年半でした。

金丸:えっ、大学はどうしたんですか!?

平野:結論から言うと辞めました。というのも、FXにハマって、夜中までずっとモニターの前に座っているような生活になってしまったので。

金丸:とんでもなく不健康な生活ですが……。

平野:最終的には授業にあまり行かなくなったので、アメリカにいる意味もなくなり。

金丸:日本に戻られて、どうしたんですか?

平野:帰国後もしばらくはひたすらFXをやっていました。ただ、ずっと短期取引をしていると、「いつまでもゼロサムの世界はむなしいな」「モニターを見続ける人生は嫌だな」と思い始めて。

金丸:稼ぐことができたとしても、生きている実感はあまり得られないですよね。

平野:それで徐々に自分だけではなく、社会にもいい影響を与えられる事業をやりたい、と考えるようになりました。ただ社会人経験がなかったので、まずはインターンをやってみたんですが、アメリカナイズされていたこともあって、あまり上司とうまくいかず。

金丸:生意気な感じだったんですか?(笑)

平野:まさに(笑)。そんな時、先輩と一緒に新橋の居酒屋に飲みに行ったんです。その店は日本酒に力を入れていて、なんとなく「飲んでみようかな」と思って、僕と同じ栃木生まれということで「鳳凰美田」を頼みました。そしたら、そのフルーティーな味わいに「こんなに美味しいお酒があるのか」とびっくりしました。

金丸:ということは、それが平野さんにとって日本酒との初めての出合いだったんですか?

平野:はい、僕はビール党だったので。日本酒には「安酒で悪酔いする」みたいなイメージがあって、ずっと避けていましたね。

金丸:だけど、普通は「美味しかった」で終わるじゃないですか。そこから「自分で造ってみよう」とよく思えましたね。

平野:日本酒に限らず、日本文化そのものに以前からポテンシャルを感じていたことがありますね。サッカーの試合でブラジルやスペインを訪ねることがあって、海外の文化と比べても、日本文化にはどこにも負けない魅力があると実感していましたから。

金丸:私も「日本の文化は丸ごと輸出できる」が持論です。

平野:日本の経済状況は芳しくないし、グローバルで戦える企業も多くはない。でも、突破口がそこにあるのではないかと。

金丸:その日、普通の居酒屋に行っていたら、平野さんはビールを飲んでいたと思います。だからその先輩に感謝しなきゃいけないですね。そして、美味しいお酒を置いていたお店にも(笑)。

平野:本当に。振り返ってみると、最初そう思っていなくても、点と点が勝手につながっていくような人生を歩んできたなと感じています。

金丸:どんなきっかけで何がつながるか分からない。人生って面白いですよね。

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