2023.04.25
ソラノシタ〜成田空港物語〜 Vol.13空港は、“出発”と“帰着”の場。
いつの時代も、人の数だけ物語があふれている。
それも、日常からは切り離された“特別”な物語が。
成田空港で働くグラホ・羽根田(はねだ)美香は、知らず知らずのうちに、誰かの物語の登場人物になっていく―。
「ソラノシタ〜成田空港物語〜」一挙に全話おさらい!
第1話:ロンドンから帰国した直後、女に予想外のトラブルが…
― まだまだ学ぶべきことがたくさんあったのに…逃げるようにロンドンを出てきちゃったな…。
最終目的地である成田空港行きのフライトまで、乗り継ぎ時間は17時間。十分すぎる待ち時間のせいで、考え事が頭の中をグルグルめぐった。
思考力も体力も、ごっそり削られているのを感じた麻衣子は、早々に空港内のトランジットホテルにチェックイン。
ホテルで一晩過ごすことに決めた。しかし、心が晴れず、あまりよく眠れなかった。
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第2話:交際3年。初の海外旅行を目前に、連絡が激減したのはなぜ…?機内で彼が語った本音とは
このハワイ旅行は、果歩の29歳の誕生日に合わせて、彼が企画してくれたものでもある。
きっと最高の旅行になるに違いない。そう思った果歩は、ネットやSNSで話題のスポットを調べては、頬を緩めるのだった。
ところが、次の日の夜。
『ごめん、果歩…。7日、仕事でどうしても抜けられなくなった』
旅行の日程は、2月7日から6日間。彼から送られてきたLINEに、絶頂だった果歩の気分は、どん底につき落とされたのだった―。
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第3話:同棲2年。彼女との関係が冷えきった中、久々の海外出張が決定。男はつい浮かれてしまい…
交際4年目の亜香里とは、同棲を始めてもうすぐ2年。
コロナの流行で生活様式が変わってからというもの、2人の関係性はすっかり変わってしまった。
とりわけ彼女が家でずっと不機嫌そうにしているせいで、正人は窮屈極まりない。この調子で、これから先も一緒に暮らしていけるのだろうか―。
こんなふうに考えることが増えていた。
1週間の海外出張が決まったのは、ちょうどそんなときだった。
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第4話:2年間支えてくれた彼女に、別れを告げた男。破局の決定打となった、彼女のある一言とは
「羽根田先輩、わかりました。私、行ってきます」
「ありがとう!これ、モトローラ持って行って。状況がわかったら教えてね」
香奈美は、制服の腰のベルトにモトローラを引っかけると、保安検査場に走った。視線の先に、背の高い男性と検査場の職員の姿をとらえる。
― あ、あの人かな?
「お客様、どうなさいましたか?」
なにやら話し合っている2人に駆け寄って、香奈美は声をかける。すると、職員の口から、信じられない言葉が飛び出した。
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第5話:女友達3人でパリ旅行へ。しかしある出来事で、空気が一気に凍りつき…。一体なにが?
「真奈美っ!ごめん、待った?」
大学時代からの友人・佳織と今日子が揃ってやってきた。彼女たちは、東京駅からリムジンバスに乗ってくると言っていた。
「ううん、私もさっき着いたところ」
「そっか、よかった!って、真奈美―」
次の瞬間。ただでさえ大きな佳織の目がパッと見開かれ、真奈美の足元にくぎ付けになった―。
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第6話:食事会に参加しても、22時には帰る27歳の女。これまでしたことのない“あれ”とは…?
聞けば2人とも、ここ最近よく食事会をしているらしい。どことなく場慣れした余裕みたいなものが感じられて、美香は少し気後れする。
「そろそろ、行こうか」
「…うん」
だが、そうも言っていられない。店内に足を踏み入れる前。美香は、心の中で小さく意気込んだ。
― …私だって、今日こそは!
なぜなら、社会人になってからの美香は、食事会で“あれ”をしたことがないのだ。
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第7話:パイロット訓練生とグランドスタッフ。いい感じだった2人の仲が、一晩で急激に冷めたワケ
少し早めの16時にオープンするこの店には、自然と空港関係者が集う。美香もまた、新人の頃先輩に連れられてきて以来、かれこれ5年間通い続けている。
海外のパブのような内装。それと、ビールの種類が豊富なことでも人気がある。
美香は、この日もいつものように黒ビールを注文すると、定位置のテーブル席に座った。しばらくすると―。
「美香、久しぶり!」
懐かしい声が耳に響いた。
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第8話:大切な人に会おうと帰国した、NY在住の女。成田到着直後、1通のLINEで泣き崩れ…
慣れない海外生活だが、仕事だと思うと積極的に外出できた。おかげで、暮らしは思っていたよりもずっと充実している。ただ亜依子には、ひとつ気がかりなことがあった。
― こっちでの生活も落ち着いてきたし、そろそろ一時帰国のことも考えなくちゃ。
まさにそう思ったタイミングで、スマホがブーブーと振動する。画面には、“母”と表示されていた。
「…もしもし、亜依子?」
電話越しに震える母の声を聞いて、亜依子は不安が現実のものになったのだと察した―。
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第9話:勤続5年目、ベテランCAの「黒歴史」。お客様とグラホを巻き込んで、ゲートでいきり立ったワケ
CAはイメージが大事な職業だ。会社から“通勤中のヘアメイクもしっかりと―”と厳しく言われている。だから日菜子は、家を出た瞬間から仕事モードに入るように意識していた。
― 本当…気が抜けない。
この日も、いつものように知らない誰かに気を使いながら、4階・出発フロアにあるスタバでコーヒーを受け取る。その足で、オフィスへと向かっているときだった。
「あ!彼女って、確か…」
チェックインカウンターの前で、懐かしい姿を見つけた。日菜子は、4年半前のある出来事を思い出す。
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第10話:偶然、5年ぶりに元カノに遭遇…。男が思わず見入ってしまった、彼女の「現在の姿」とは?
「よし、撮れた!基樹さん、このあと局に戻りますか…って顔色悪いですよ?最近、忙しすぎたんじゃないですか」
心当たりは、冬の終わりにおこなわれていたプロ野球のキャンプだ。その取材で、基樹は東京から沖縄、鹿児島を何度も往復していた。今になっても、激務の疲れがまだ残っているような気がする。
「あぁ、大丈夫。でも僕、コーヒー飲んでちょっと休憩してから戻るよ」
カメラマンをひとりでタクシー乗り場へ向かわせると、基樹はそのうしろ姿を見送った。次の瞬間。
― 嘘…だろ?
基樹の視線は、ひとりの女性にくぎ付けになった。そして、気づけば足は、彼女のあとを追っていた―。
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第11話:成田空港免税店で働く美容部員。仕事中についやってしまう、人に言えないある“クセ”とは
「新色の口紅って、どこにありますか?」
「こちらでございます。全色揃っております」
「あー、そうそうこれです!よかった、免税店ならまだあると思って」
そう言って、弾けるような笑顔でレジへと向かうお客様を見送る。美容部員の仕事は好きだ。だけど真理奈は、ときどき“ここ”にいることに違和感を覚える。
― 私だって、“あっち側”にいたかもしれないのに…。
真理奈は視線を移す。かつて焦がれていた人や光景が、彼女の目にはひどく眩しく映るのだった。
第11話の続きはこちら
第12話:外資コンサルの男が、柄にもなく一目ぼれ。思わず“あるモノ”を差し出すと、女は困惑し…
「何時に出発かわからないって、どういうことだ!」
「申し訳ございません…」
「こっちは仕事で急いでるんだよ。せめて、時間くらいわかるだろう?」
「…いえ、時間もまだ…」
彼女は新人なのだろう、と彰正は思う。威圧的な乗客にうまく対応できず、今にも泣きだしそうな顔をしている。そのせいで、男性はさらに激昂しているように見えた。気の毒に思った彰正が、声をかけようと一歩踏み出したときだった。
「お客様―」
ひとりの女性がやってきて、スッとあいだに入った。
第12話の続きはこちら
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