2023.01.20
SPECIAL TALK Vol.100
代名詞だった髪と別れ。次のステップへ
金丸:ところで、さっきもおっしゃった、長い髪をかきあげる仕草は中村さんの代名詞でしたけど、ばっさりと髪を切られましたね。
中村:『着飾る恋には理由があって』というドラマの役作りの一貫です。演出の塚原あゆ子さんから「今度のドラマでアーティストの卵という設定の役があって、髪の短い子がいいんだけど、もしかして、切ったりしないよね?」って言われたんです。
金丸:それで切っちゃったんですね。髪って、イメージに相当な影響があるじゃないですか。すごい決断ですね。
中村:塚原さんとはドラマ『グランメゾン東京』の演出でお会いして以来、絶大な信頼を置いているんです。『着飾る恋には理由があって』でも塚原さんの役に対するイメージがかなり具体的で納得したというのもありましたし、どこかで切りたいなとも思っていたんです。
金丸:それはまた、どうして?
中村:デビューの頃からずっと、長い髪にワンピースで「誰だ、あの娘?」っていう感じを印象づけてきたのが私でした。『東京カレンダー』の表紙も、そのイメージがあるからいただけた仕事だし、私のスタイルを真似してくれる女の子もいた。それはそれでうれしいんですけど……。
金丸:自分の殻を破りたくなったんですか?
中村:そうですね。パブリックイメージが20代からまったく変わらないままであることがだんだんしんどくなってきたんです。それに、俳優として仕事をするときに「あ、いつもの中村アンだ」って思われるのは、やっぱり悔しいです。
金丸:なるほど。世の中に認知してもらうにはよかったけど、そのイメージが強過ぎると、何をしても「あの中村アン」としてしか見てもらえないということですね。
中村:これまでのスタイルでやることは十分やりつくしたと感じていました。そこからどうやって次のステップに行くかを考えると、「役のために切る」のがベストだなと思っていました。だから声をかけてもらったときは「きたー!」って感じでしたね(笑)。
金丸:渡りに船だったんですね。だけど、あれだけ長い髪をバッサリ切るとなると失敗もできないでしょうからいろいろな準備も必要ですよね。
中村:仰るとおり。まずはウィッグで役のイメージと重ね合わせながら髪型を決めて、切ってもらったのは20代の頃からお世話になっている美容師さんでした。
金丸:一大プロジェクトですね。
中村:あの長い髪は自分にとって、誇りでもありましたけど、迷いはなかったです。髪が削ぎ落とされていくのを見て、「ああ、気持ちいい」みたいな清々しい気分になりました。
金丸:「これから中村アンは進化するぞ」という感じですか?
中村:進化しつつ大きく変化したいですね。「違う自分に会いたい」という気持ちがすごく強かったです。私、変化を恐れないタイプなんです。
金丸:力強い。変化した先に何があるかわからなくて、一歩を踏み出せない人もいます。
中村:20代では仕事をいただくために、目の前のことをがむしゃらにやっていれば怖いものはありませんでした。だけど、30代になって、歳を重ねるにつれて、いろいろな世界を見て、学んでいくことで、考え悩むことや揺れ動くことも増えたんです。
金丸:若くて無理がきくからできることもあれば、経験があるからできることもありますよね。
中村:そうなんです。これまで以上に出会った人を大切にしたいという気持ちがどんどん強くなってきたし、最近になって、ようやく肩の力を抜けるようになったことで、30代がすごく楽しいと思えるようになったんです。
金丸:中村アンはこれからもバージョンアップするんですね。
中村:ここから5年がまた自分の幅を広げるための勝負かなと思っているので、40代ではまた違う私を、皆さんに全力で示せたらいいなって。これからの中村アンも、ぜひご注目ください!
金丸:中村さんがこれからもご活躍されるのを期待していますし、『東京カレンダー』も引き続きよろしくお願いします(笑)。今日は本当にありがとうございました。
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2024.04.19
Vol.115
~この楽器だからこそできる表現を。歴史ある箏を武器に世界を目指す~
2024.03.21
Vol.114
~勝負の気持ちから感謝の気持ちに。青森の伝統を守り、盛り上げたい~
2024.02.21
Vol.113
~学問という知的な武器を子どもたちに。学びの体験をアップデートして日本を変える~
2024.01.19
Vol.112
~庭師として素晴らしい日本文化を守り、次の世代へと伝えていきたい~
2023.12.21
Vol.111
~いつだって新しい人に出会いたい。シンプルな好奇心が新たな交流を生んだ~
2023.11.21
Vol.110
~自分が飲みたい日本酒で世界に挑戦し、日本酒業界に革命を起こしたい~
2023.10.20
Vol.109
~世界で一番愛される字を書きたい。世界を舞台に活躍する書道家へ~
2023.09.21
Vol.108
~ピアノや音楽をもっと自由に、多くの人が慣習にとらわれず楽しんでほしい~
2023.08.21
Vol.107
~未曽有の事態に直面して生まれた医療の新しいカタチ~
2023.07.21
Vol.106
~日本における医療の弱みはウェルビーイングの浸透で改善できる~
おすすめ記事
2022.12.21
SPECIAL TALK Vol.99
~研究者として、教育者として、人をより自在に少年の心を忘れず新たな世界を拓きたい~
- PR
2024.05.14
「彼とのデートがマンネリ気味で…」今週末行くべきは、非日常を味わえる有名店ばかりのグルメフェス!
2023.11.28
恵比寿で“仕事のサシ飲み”にぴったりの店5選!美食と美酒に会話が弾み、関係が深まる
2023.06.03
「銀座で食事会」なら、思いっきりゴージャスに!個室でゆったり寛げるレストラン4選
2017.02.24
TBS&博報堂社員に聞いた、赤坂でリアルに通う名店8選
2023.10.11
ハラスメント探偵~通報編~
“頭をポンポン”しながら「頑張れよ」という上司に鳥肌!ハラスメント相談窓口に駆け込むも…
2024.05.02
日本酒好きな彼女とのデートにおすすめ!ゆったり落ち着けるカウンター和食3選
2023.06.20
ハラスメント探偵~通報編~
終業後に若手社員3人がオンラインで密談。どうしても許せなかった上司を内部通報した理由
2015.11.03
見よこの熟成牛タン!出張族が仙台で足を運ぶ地元の名店3選
2015.11.06
ガイドブックに頼らない、札幌出張で足を運びたい名店たち
東京カレンダーショッピング
『秋田かまくらミート』:秋田を代表するブランド牛「秋田由利牛」!サシの美しい上質なしゃぶしゃぶ用サーロイン
『肉のABCフーズ』:黒トリュフ塩付!牛タン&A5ランク黒毛和牛を使った極上ハンバーグ
『パンツェロッティ』:具材ごろごろボリューミー!フレッシュな野菜と肉感満載のフライドピッツァ
『HAL YAMASHITA 東京』:シルクのようななめらかさ!冷え冷えトロリの新食感"ウォーターチョコレート"
『レザンファンギャテ』:しっとりと濃厚で、コクのあるニューヨークスタイルのチーズケーキ
『ル・ボヌール 芦屋』:しっとりサクサク!フリーズドライ苺にホワイトチョコをたっぷりと浸透させた新感覚スイーツ
ロングヒット記事
2024.05.08
東京レストラン・ストーリー
いつも“片耳イヤホン”の29歳彼氏。彼女が「やめて」と指摘したら険悪な雰囲気になり…
2024.05.12
Editor's Choice~life style~
今日5/12が母の日って忘れてない?今すぐ贈れるギフトで癒やし体験をプレゼント
2024.05.07
Editor's Choice~hotel~
夏はすぐそこ!思いっきり非日常を味わえる海外のラグジュアリーホテル3選
2024.05.09
Editor's Choice~beauty & wellness~
母の日に贈るプレゼントは、もう決めた?今からの購入でも間に合う、限定ギフトボックス3選
2024.05.10
大人の週末ToDoリスト
ジョン・レノンのプライベートに迫る映画や、タイフードを楽しめるフェスなど、今週末のイベント3選