2022.12.21
SPECIAL TALK Vol.99
研究者としてサポーターとして若者とともに挑戦を続ける
金丸:世の中では若い人が保守的になっていると言われていて、私も危機感を持っています。稲見さんから見て、東大の学生はどうですか。
稲見:面白い学生も、モチベーションにあふれた学生も一定数はいますよ。これから日本はどんどん人口が減っていきますが、一方で、明治維新のときよりも人口は多い。あの当時、20代、30代の若者が中心になって近代国家の礎を築いたわけですから、できないことはないと思いますし、私も学生たちを応援したいと思っています。いや、「応援したい」だと他人事みたいになってしまいますので、「できるんだ」ということを、身をもって示さなきゃいけないですね。
金丸:おっしゃるとおりです。若い人に活躍してもらうためにも、上の世代が主役から降りて、サポーターに回らなきゃいけないでしょうね。主役の座を奪ったら「年寄りはいらないってことか!」と怒られるかもしれないけど、そうじゃなくて、サポーターとして重要な役割を果たしてほしい。
稲見:金丸さんは、どんなサポートが一番若者のためになると思いますか?
金丸:まずは待つことですよ。道を切り拓いてきた自負がある人ほど、成長を待てなくて口や手を出してしまう。結果、成長の機会を潰してしまう。
稲見:ああ、それはすごくよくわかります。
金丸:たとえば役者って、若いうちに主役を張っていた人が、年を取ってから脇役としていい味を出すじゃないですか。若い役者のようにみずみずしい演技はできなくても、しっかりとした実力で主役を引き立たせる。いつまでも自分が主役をやろうとすると、ドラマとして成立しない。
稲見:人間がいわゆる生殖年齢以上に長生きするようになったのは、社会的生物としてのサポーター機能が大切だったからじゃないかという説があります。
金丸:この私の年齢で20年くらい最年少だった経済界の集まりがあるんですが、いかに日本の社会が硬直化しているかを象徴しています。もっと新陳代謝がないと。
稲見:私も教授になったのが34歳のときでしたが、長いこと最年少教授として扱われました。やっぱりそれじゃあダメですよね。
金丸:34歳で教授って、すごいですね。でも、稲見さんのような日本を引っ張る研究者がそういう危機意識を持っていらっしゃるのは、私からすると頼もしいです。
稲見:学生には「ゲーマーになるよりも、ゲームクリエイターになれ」と言っています。多くの人が「やってみたい」「楽しそう」と感じるものを提案する側にならないと、世の中に新しいものが生まれないし、新しいものを生み出す能力を持っていたとしても、埋もれて終わってしまうのだと思います。
金丸:実際、日本のゲームクリエイターには、世界で評価されている人もいますよね。
稲見:ゲームや技術に限らず、いろいろな場を作るとか、新しいルールを作るとか、若い人たちが、私が想像もしていなかったものを生み出すことを期待しています。
金丸:いいですね。稲見さん自身のご活躍もさることながら、稲見さんのもとで学んだ研究者たちが世界を驚かせることを楽しみにしています。今日は、本当にありがとうございました。
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