2022.12.05
6.テンポのいいコース展開に、気持ちよく酒が進む天ぷら店@麻布十番
『天 よこた』
名店ひしめく麻布十番は、天ぷらもしのぎを削る激戦区。そんな街に彗星のごとく現れた『天 よこた』は、江戸前の伝統を継承する直系の店。
血筋の良さは間違いないが、路地裏のビル2階に人目を忍ぶように佇む。
麻布十番商店街のメイン通りから一本裏手に入った、静かな路地裏に『天 よこた』はある。
2階へと上るビルの動線もなかなか分かりづらい隠れ家で、モダンな雰囲気が漂う。
無機質で現代的なエントランスからは想像もつかない温かく、ノスタルジックな店内。初手から驚かされる天ぷら店だ。
木肌の凹凸を縁でそのまま生かした楢のカウンターに、揚げ場後ろに配された総織部の壁も美しく、天井では艶やかに銅板が光っている。
オープンから1年足らずで星に輝いた江戸前の新鋭
「父と私の繋がりを象徴的に表現しました。父が麻布十番で最初に構えた店が銅板の天井だった」
店主の横田省吾さんは二代目の職人。父は『天冨良 よこ田』の恒夫さんで名人の誉れ高く、江戸前の粋を長きにわたって伝えてきた。
だから、キスやメゴチなど、伝統的なタネは変わらず、きっちりと扱う。尾がピンと立ち、まるで生きているような姿形で揚げる手法も父譲り。
提供直前に捌いて鮮度を味わう穴子や巻きエビもまた然り。
美しい揚げ上がりで、身と頭を別々に提供する「巻海老」。
揚げ油は浅草『磯村政次郎商店』の純正胡麻油に、コーン油をブレンドしたもの。
一方で、独自色も追求している。
例えば、山形「舟形マッシュルーム」のように全国各地の特産品を揚げる天ぷらは、新しい試み。
甘さを生かすべく、半生で仕上げる富山の白エビも新作で、クラシックからモダンへ、テンポよく進むコースに、ふたりの酔いも深まるだろう。
「舟形マッシュルーム」。
山菜採りで訪れた山形で出合い着想を得た食材で、香りを補うため間にペーストを忍ばせる。
すべてコース(16,500円)より。
「今は多様な食材が揚げられる時代ですが、私は江戸前の本分をわきまえた上で挑戦していきたい」
二代目は昔気質の心まで継承している。その潔さがまた心地よい。
日本酒とワインのセレクトも秀逸!
米の旨みが生きた「にいだしぜんしゅ」(一合 1,100円)など、日本酒が充実する他、ワインも微発泡の「ファリグロ」(8,000円)をはじめ、少数精鋭をリストアップ。
◆
独自のセンスで大人を魅了し、無二の存在として和食好きが憧れる名店たち。
この店へ誘われた相手の心を確実に掴み、港区デートを成功へと導いてくれるはずだ!
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