2022.02.21
SPECIAL TALK Vol.89寺田:いいえ。当時は事務所の大阪支社に所属していて、東京に移ったのは大学からです。高校は、大阪の府立東住吉高等学校に進学しました。
金丸:公立校だと、芸能活動をするにもハードルが高いのでは?
寺田:はい。当時の大阪には、芸能活動に寛容な高校がほとんどなくて。でも、東住吉高校は伝統芸能を学ぶ学科があったり、マナカナこと三倉茉奈・佳奈さんの出身校だったり、教師に理解があるからと、中学の先生に「東住吉に行け」とめっちゃ言われました (笑)。
金丸:ちなみに、もともとは関西弁だったんですか?
寺田:バリバリ関西弁でしたよ。でもドラマに出始めた頃に「直さなきゃいけない」と言われて。いつも東京に向かう新幹線に乗り込んだ瞬間に、「今からは標準語をしゃべる」と気持ちを切り替えて、仕事場に行ってましたね。
金丸:私も普段は標準語ですが、相手が関西弁だと、いまだに関西弁が出てきます。
寺田:出ちゃいますよね。私も親や姉と話していると関西弁に戻ります。
金丸:東京と行き来しながら高校生活と芸能活動を両立させるのは、大変だったはずです。それでも、大学に進学されたんですね。
寺田:そうですね。中3でデビューしていなければ、迷うことなく進学していたはずなので、大学進学は大事だなと。あとは当時、テレビではクイズ番組が流行っていたので、「そこそこの大学に通っていたほうが、お得だろうな」という考えもあって(笑)。
金丸:結構、戦略家なんですね(笑)。
寺田:それに、東京に出るための理由が欲しかったんです。大阪にいることで、ハンデを背負っているように感じていたので。
金丸:でも所属が大阪支社ということなら、一筋縄ではいかないのでは?
寺田:そうですね。「東京の大学を受験したいです」と直談判したし、合格したあとは合格証を持って「東京に出るので、東京所属にさせてください」とお願いしたり。
金丸:いきなりオーディションに応募したときもそうですけど、寺田さんはこうと決めたら突き進む行動力と突破力がありますね。
一瞬で終わった絶頂期。原因は独りよがりの思い込み
金丸:大学はどちらに進学されたのですか?
寺田:明治大学文学部で演劇学を専攻しました。
金丸:芸能活動で忙しいと、大学の授業にもなかなか出られなかったのでは?
寺田:むしろ、大学にはがっつり通いました。大学の3、4年生の頃は、ほぼ仕事がない状態だったので。
金丸:えっ、そうなんですか!?
寺田:デビューしてから1、2年くらい、高校2年生の頃がピークで、その後はどんどん仕事がなくなっていって。大学時代はレッスンと学校の日々でしたね。
金丸:売れる、売れないにもいろいろな要素があると思いますが、仕事が減った原因はどう考えていますか?
寺田:15歳でデビューして、その後トントン拍子に行ったことで、その成功体験に引っ張られたように思います。「私はこういう考え方を持っているからうまくいった。だから、その考え方、やり方を変えたらうまくいかない」と思い込んでしまって。
金丸:なるほど。芸能人に限らず、社会人や経営者でも、そういう思い込みにとらわれる人は少なくありません。
寺田:振り返ってみると、極端すぎて危うくて、自分のことながら恥ずかしいのですが、「私は女優なんだから、女優の仕事しかやっちゃいけないんだ」と思っていました。ほかにいろいろなオファーをいただいていたにもかかわらず、どれも断って。
金丸:仕事にプライドを持つこと自体は、悪いことではないですけど。
寺田:でも当時の私は、プライドに実力が伴っていませんでした。もちろん、事務所に用意してもらったレッスンは受けていましたが、それだけでどうにかなるほど才能があったわけではありません。基礎も身につけてないのに「女優しかやらない」なんて、今思うと、何言ってるんだろうと。
金丸:自分で自分のチャンスの芽を摘んでしまっていたんですね。
寺田:まさにそのとおりです。そして大学3年生が終わる頃、事務所に呼び出されて、「1年間猶予をあげるから、就職活動をしなさい」と言われました。
金丸:戦力外通告ですか。厳しい世界ですね。
寺田:むしろ、かなり温情のある通告だったと思います。専属契約を解消する場合、3ヶ月前に通知すれば十分なのに、私のことを考えてくださって、1年という時間をいただきましたから。
金丸:ではその通告を受けて、一旦は就職活動をされたんですか?
寺田:いや、むしろ頑なになって、就活はまったくやりませんでした。周りの方たちが「寺田さんには、こういうのが向いているんじゃない?」とアドバイスをくれても、そういう言葉に耳を傾けることもなく、逆に行っちゃって。
金丸:逆というのは?
寺田:もっと頑なにならなきゃいけないというか、「私の考え方が伝わっていないみたいだから、もっと伝えなきゃ」という方向に振り切れてしまって。
金丸:自分の考えを理解してくれるまで、主張しないといけないと思ったんですね。でもそのせいで、孤立が深まってしまった。その頃の寺田さんは、周囲のアドバイスを「ドアの外に放置」するような状態だったと言えます。私も「人に言われたとおりにする」ことはありませんが、参考にはします。言われたことを自分のなかに取り込んで、その上でどうするかを考える。
寺田:大学時代の私にそれができていたら、違う道を歩んでいたかもしれません。
金丸:一旦受け入れて自身で消化できれば、新しいものが生まれるチャンスなんだけど、お話を聞いている限り、当時の寺田さんは相当扱いにくい人だったんじゃないかなと(笑)。
寺田:まさに。自分でもそう思います(笑)。
金丸:人が成長する上で、自己肯定力は大事です。自己肯定力が低いと、チャレンジする気力さえ湧きません。ただ、成長のチャンスを逃してしまうのは、自信過剰な人も同様じゃないかと。
寺田:耳が痛いですね。オファーをいただけていたのも、私の実力で掴んだのではなく、素晴らしい事務所があって、私を売り込んでくれる人たちがいたからこそだったのに。すべてお膳立てしてもらっていたことに気づいたのは、事務所を退所したあとでした。
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