2022.02.21
SPECIAL TALK Vol.89ひとりきりになって、新しい戦いが始まった
金丸:大学卒業と同時に、事務所も退所になったのですか?
寺田:はい。2012年3月31日に大学を卒業し、学生という肩書と同時に所属事務所と給料を失いました。4月1日からひとりきりのスタートです。今でこそフリーランスの女優も珍しくないのですが、当時は事務所に所属する以外、事実上、道はない状態でした。だから自分で履歴書を作って、プロフィール写真を撮りに行って、いろいろな事務所に送りました。でも、どこにも引っかからなくて。最初にお話ししたように、自分で道を選んだというより、フリーランスでやっていく以外なかったんです。
金丸:そんななか、どうして「ホリエモンチャンネル」のMCをやることになったのですか?
寺田:最初に堀江さんにお会いしたのは、堀江さんがプロデュースしたミュージカルに出演したときです。私は大学3年生で、まだ事務所に所属していました。
金丸:それっていつ頃の話ですか?
寺田:2010年ですね。
金丸:ということは、ライブドア事件で堀江さんが収監される前の話ですね。その前後で、おふたりとも人生に大きな転機が訪れた。
寺田:そうですね。堀江さんが出所されたとき、私は仕事もない状態で、飲食店でアルバイトをしていました。そしたら、「YouTubeやるから、MCやってよ」と声をかけてもらって。堀江さんは、くすぶっていた私を助けてくれたんだと思います。
金丸:以前の寺田さんの性格だと、正直、ホリエモン相手にMCが務まるのかなという気もしますが(笑)。
寺田:それが退所後ひとりになって、私も変わりました。営業も交渉も全部ひとりでこなさないといけなくなり、自分がいかに周りの方たちに助けてもらっていたのかがわかったし、自分のふがいなさに初めて気づきました。フリーランスとしてこれからは、寺田有希を選んでもらう意味と理由と経歴をつけていかなきゃいけない。そのためには自分の実力を上げて、「仕事を頼みたい」と思ってもらえるような自分を作っていかなきゃいけない。そう思って、がむしゃらに10年間走ってきました。最近になって、やっとフリーのマネージャーさんと契約したんですよ。
金丸:寺田さん、本当によく頑張りましたね。組織を飛び出した途端、今までほかの人がやっていたことを自分でやらなきゃいけなくなると、自分に能力があると思っている人でも、バックヤード業務でつまずいてしまうこともありますから。
寺田:それに「ホリエモンチャンネル」でもかなり鍛えられました。堀江さん自体がすごい方ですし、ゲストにも有名な方がよくいらっしゃいます。それで私が萎縮していたら、MCとしての仕事を全うできないので、どうやってコミュニケーションを取ればいいのかを、すごく考えるようになりましたね。
金丸:そうなんですね。今もかなり自然体でお話しされているように感じます。あと男性のファッションを取り上げるYouTubeの「B.R.CHANNEL」にも出演されていますよね。ファッションディレクターの干場義雅さんとの軽妙な会話は、いつも見ていて楽しいです。
寺田:ありがとうございます。そんなにご覧いただいていたなんて恐縮です。干場さんの場合、私が関西出身ということもあってか、ボケとツッコミの空気感を作るために、共演しはじめた頃から意識的にボケを入れてくださって(笑)。
金丸:「B.R.CHANNEL」はどんなきっかけで、出演することになったのですか?
寺田:番組の制作会社が、当時の「ホリエモンチャンネル」と同じだったからなんですが、キャスティングされた理由がひどいんですよ。「寺田さんがめちゃくちゃダサかったから」って(笑)。
金丸:そんなに言われるほどダサいんですか(笑)。
寺田:真正面から言われて、私もビックリしました(笑)。でも、そんなにダサい私が、番組を通じてファッションを基礎から学び、どんどんおしゃれになっていけば、より説得力が出るからと言われて、すごく納得したし、今はすごく感謝しています。
金丸:なるほど。堀江さんと知り合いだったり、私服がダサかったり。どんなところからどんな理由で仕事が舞い込むかなんて、わかりませんね。
寺田:本当にそう思います。事務所に所属していたときは、仕事のオファーが来るのは自分に実力があるからだ、と思っていました。でも実際には、裏付けのない自信を持っていただけだった。あの頃の自分は、正直、最低でした。
金丸:でも若さという希少価値を実力だと勘違いしてしまうのは、誰にでもあることです。
寺田:フリーになってからの10年間、もちろん自分でも努力はしてきましたが、いただいている仕事に見合った実力を持っているとはまだ言えません。出会いに感謝しつつ、もっと力をつけていかないと。
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