
~失敗したからこそ挑戦を恐れなくなった女優の新しいカタチを切り拓きたい~
アイドルへの密かな憧れを誰にも言えず過ごした幼少期
金丸:お生まれはどちらですか?
寺田:大阪府堺市です。元は違う地名ですが、合併して……。
金丸:私は近くの泉大津市に住んだことがあります。大阪の南のほうは、伝統的に“スケバン”を生む土地柄ですよね(笑)。
寺田:いやいや、いないですよ(笑)。堺市でも田舎の方なので、気質的には大阪というより奈良寄り。のんびりしたところです。
金丸:ご両親はどんなお仕事をされていたのでしょう?
寺田:父は放射線技師で、母は専業主婦でした。姉もいますが、みんな芸能とは関係ない、ごく普通の家庭です。
金丸:では寺田さんは、いつ芸能界に興味を持ったのですか?
寺田:私が幼稚園生くらいの頃に安室奈美恵さんや、ガールズグループのSPEEDが活躍されていて、「アイドルっていいな」と。
金丸:かなり昔から興味があったんですね。
寺田:その後、小学4年生くらいで、モーニング娘。が大ブームになって、ますますアイドルという存在に憧れるようになりました。
金丸:私ぐらいの世代だと、おニャン子クラブと“モー娘。”の区別が曖昧なこともあります(笑)。でも、当時は社会現象になっていましたよね。
寺田:“モー娘。”はオーディション番組から生まれました。私は田舎で育ったので、「こんなところにスカウトが来るはずない」と諦めていましたが、「オーディションに参加するっていう道もあるんだな」と思ったのを覚えています。
金丸:あの、鏡を見て、子ども心に「私、イケてるかも」なんて思っていたんですか?
寺田:それがまったく。
金丸:本当ですか?
寺田:本当ですよ(笑)。というのも、私はすごく目が悪くて、幼稚園から子ども用のメガネをかけていました。そういうメガネって、ずんぐりむっくりしているので、小学校の頃は「メガネザル」って呼ばれてて。
金丸:それはひどい。
寺田:放課後も家に引きこもって、ピアノを弾いているような目立たない子でした。私みたいな地味な子が「アイドルになりたい」なんて言ったら、いじめられちゃうんじゃないかと思っていて。アイドルへの憧れは、友達にも親にも言えませんでしたね。
金丸:でもどこかで挑戦してみようと思い立ったわけでしょう?そのきっかけは何だったのですか?
寺田:中学生になって、コンタクトレンズに変えたんです。そしたら容姿を褒めてもらうことが多くなり、「あれ?」って。
金丸:周りが寺田さんの魅力に気づいたんですね。
寺田:あとから聞くと、幼い頃もメガネをしていないときは、「かわいいね」と言われることがあったらしいんです。でも、私自身はまったく記憶にないし、メガネをかけているのが当たり前だったので、自分で気づくチャンスがなくて。
金丸:面白いですね。
寺田:それで、「もしかして、イケるのでは」と、中学3年生のときにオーディションを受けたのが、芸能界入りのきっかけになりました。
金丸:ところで、学校は地元の小中学校に?
寺田:そうです。塾に通っていたし、結構勉強していて。高校は進学校に行きたいと思っていました。
金丸:じゃあ、勉強が好きだったんですね。私とは大違いです(笑)。
寺田:それで、高校受験を控えた中3のときに「高校に進学したら、そういうチャレンジをすることはなくなる。これが最初で最後のチャンス」と思ってオーディションを。
金丸:ご両親はどんな反応でした?
寺田:びっくりしたと思いますよ(笑)。「オーディション受けるわ」って、娘が唐突に言い出したわけですから。
中3でオーディションに応募。一躍スターの仲間入りを果たす
寺田:女性タレント発掘のための大規模なオーディションは、年に2回あります。
金丸:私も名前は知っています。女性タレントの登竜門ですよね。
寺田:ひとつは5月くらいから選考が始まるのですが、そちらはあっさり落ちてしまって。すごく悔しかったし、この年がラストチャンスだと思っていたので、秋に開催されるもう一方のオーディションにも応募しました。残念ながらグランプリ受賞はできなかったけど、最終審査までは残ることができました。
金丸:最終審査には何人くらい残るんですか?
寺田:14人です。
金丸:すごいですね。立派な成績です。
寺田:ありがとうございます。賞は取れなかったものの権威のあるオーディションなので、事務所に所属が決まり、すぐにレギュラー番組も決まって。
金丸:順調な滑り出しですね。
寺田:そうなんです。自分で言うのも何ですけど、トントン拍子でした。当時の芸能界には、グラビアで知名度を上げてから女優になるという流れがあり、私もその流れに乗りました。ありがたいことに1冊目の写真集が結構売れて、そのあと『週刊ヤングジャンプ』の「制コレ」というオーディションでグランプリをいただき。
金丸:周りの見る目も変わったんじゃないですか?
寺田:もう、がらりと変わりましたね。これはデビュー前の話なんですけど、オーディションの模様が全国放送で流れました。しかも『笑点』の前といういい時間帯に。で、週明け学校に行ったら、 校内中の黒板に「寺田さん、サインください」と書いてあって。
金丸:一躍、学校のスターですね。
寺田:芸能人が生まれるなんて、誰も思っていない田舎の学校ですから。「こんなに態度が変わるんだ」とびっくりしたのを覚えてます。そのときはまだデビューすら決まっていない時期だったので、さらに複雑な気持ちでした(笑)。
金丸:芸能人は、いいことでも悪いことでも、何かあるたびに世間の評価がコロコロ変わりますよね。
寺田:そうですね。手のひら返しはそのあと何度も経験しましたし。
金丸:ところで、デビューが決まって、東京に引っ越されたのですか?