『明日は、ドライブデートにしよか。晴ちゃんの家の前まで迎えに行く!』
ドライブデートを打診するLINEが冬馬から届く。ウキウキしていた私は何を着て行こうか迷うあまり、それ以外の準備は一切しなかった。
そうして、迎えた当日。
私は、約束の時間に現れた冬馬を見て、彼を絶対逃すまいと心の中で再び誓う。
愛車が、真っ赤なフェラーリだったからだ。
― この人は想像以上に、リッチかもしれない…。
初めて乗るフェラーリに感動し動画を撮ってばかりの私に、冬馬は喜んでくれて嬉しいと、微笑んでくれた。
いい雰囲気だったが、ある一言でなんとも言えない空気に変わってしまったのは、中央道に乗る少し前のこと。
「ノド、乾いたなあ…。冬馬、コンビニ寄ってくれない?飲み物買おうよ」
「え?なんでコンビニ寄るん?飲み物なら持ってきたで」
「え、用意周到だね。ありがとう♡」
「あと、今日の宿の予約もしておいたで」
― やっぱり冬馬は最高すぎる!
冬馬の最高の気遣いに、私は「ありがとう」と心を込めて伝える。
目的地の河口湖に到着すると、サプライズで用意してもらった高級宿に泊まったが、冬馬はどこか盛り上がりに欠けていた。
◆
翌日。ほうとうを食べ、冬馬は仕事があると言ってすぐに帰京した。そして、次のデートが決まることはなく、翌週に私は振られてしまった。
お泊まりデートでの2人のテンションがあまり合わなかったし、仕方ないと言えば仕方ない。だが、逃した魚は大きいと思わざるを得なかったのだ。
冬馬(32)「使うとなくなるのがお金やからな」
行きつけの定食屋で偶然、晴ちゃんを見かけてから、僕は一方的に彼女を知っていた。
キリッとした顔立ちがいかにも賢そうで、いいなと思っていたのだ。
晴ちゃんのことが気になった僕は、いつも彼女と親しげに話している店長に、どんな子なのか聞いてみた。
「晴ちゃん?気に入ったの?大手企業のOLだよ~。ちなみに父親はどこかの会社のサラリーマン役員だったはず」
― 悪くないな。
次に偶然会うことがあれば、声をかけようと決める。すると、すぐにその機会はやってきた。
行きつけの定食屋で、たまたま僕の隣の席に晴ちゃんが座ったのだ。このチャンスを逃すまいと緊張しながら彼女に話しかけ、連絡先をゲット。
そして、デートをしてみるとあまりにもいい子で、僕は彼女をすぐに好きになってしまった。
だから、僕は晴ちゃんにすぐ告白したのだ。
そして1泊デートを企画したが、途中のドライブで彼女への気持ちが冷めてしまう出来事が起こってしまう。
「コンビニ寄ってくれない?飲み物買おうよ」
この一言で、晴ちゃんが気の使えない女かつ細かいお金にゆるいとわかり、一瞬で冷めてしまったのだ。
前日に買い出しくらい行けるだろう。彼氏とのデートで飲み物の1本も持ってこない女がいるなんて、僕は知らなかった。
それに、コンビニで飲み物を買うことほど、非経済的なことはあるだろうか。僕はスーパーで一番安いときに、飲み物をまとめて買っている。
「細かいお金に気を配れない人が、お金持ちになんてなれない」
親からそう叩き込まれていた僕は、彼女の気遣いのない発言が許せなかったのだ。
スーパーで買えば、飲み物は70円ほどで買える。対して、コンビニは130円くらいするだろうか。
この60円の差を気にしない子とは、やっていけない。そう思ってしまったのだ。
昔から、決めたことは変えられない。
だから、目的地に着く途中で彼女と別れると決めてしまった。当然、宿に着いても気持ちが一切盛り上がらず、夜はお酒を飲み、一緒のベッドで爆睡しただけだ。
東京に帰り「別れよう」と晴ちゃんに告げ、僕たちは終わった。
やはり僕は、細かいお金にも気が使えてきちんとしている子と一緒にいたいから、これで良かったと思っている。
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この記事へのコメント
コンビニとスーパー、70円と130円、60円の差をガタガタ言う男性とは、いくら御曹司でもフェラーリ乗っててもYouTuber のイケメンそっくりでも無理ですが。
何だかイライラした。これ、本当のお金をちは…とか語りだすコメントを誘っているようで。前にもあったね。へんなかねもち連載。