2021.11.06
御曹司に恋はムズかしい Vol.1彼氏との出会いは、1ヶ月前にさかのぼる。
近所にある行きつけの定食屋で、私が日替わりランチをオーダーしたときのことだ。
「可愛いですね」
いきなり隣の席の男性が声をかけてきて、私はとても驚いてしまった。
普段なら無難にスルーするが、その男性の顔が元アイドルの有名YouTuberそっくりの顔立ちだったことに、目が釘付けになってしまったのだ。
― どうして、こんなかっこいい人が私に?
晴子の顔は一般的に整っている方である。しかし、その男性は疑心暗鬼になるほどに、レベルの違う“イケメン”だったのだ。
「俺、冬馬って名前です。よろしくね」
関西弁のイントネーションが板についていて、彼が関東の人でないことはすぐにわかった。その日は、軽い挨拶と連絡先の交換程度で、私が先に店を出ることに。
「晴子~。冬馬は難しいから気をつけなよ」
店を出るとき、店長が耳元でそっと忠告する。しかし、すでに一目惚れしていた私は、店長の言葉をすぐに忘れてしまったのだ。
突然のことで、連絡先を交換してもお誘いはないだろうと思っていたのだが、それは杞憂に過ぎなかった。冬馬はすぐにLINEで、ランチに誘ってきた。
私は有頂天となり、彼にすぐOKの返事をしたのだった。
◆
冬馬から定食屋で声をかけられた翌週。銀座のフレンチで初デートをした。
「ごめんな、晴ちゃん。待たせて…」
そう言って、待ち合わせ時刻より5分ほど遅く来た冬馬。
私は、改めて彼の全身を見たが想像よりも背が低く、少しだけがっかりしてしまった。しかし、白いTシャツと黒いスキニー、そして真っ白なスニーカーがよく似合う。何より、イケメンであることは間違いなかった。
いざ話してみると、冬馬の話のテンポがとても心地よく、ノンアルコールだったが会話が大いに盛り上がった。
「晴ちゃんとおると、楽しいな!」
冬馬は方言の通り、関西の兵庫出身。男子高で伸び伸び育ち、大学はそのまま内部進学をしたらしい。
「趣味は音楽で、サックスが得意」
一般家庭出身の私は、音楽をたしなむには相応のお金が必要だと思っている。
そう話す冬馬を、“おぼっちゃま”だと推測した私の嗅覚は、間違っていなかったのだ。
冬馬は、家業を継ぐことを考えて、大学院に進学するタイミングで上京してきたと話した。見聞を広げるために東京で学び、そして働くことが彼の将来に必要だとご両親が判断したからだ。
私は、この話を聞いたとき“おぼっちゃま”の彼を、必ずモノにしたいと心の中で誓う。
しかし、意を決して狙いを定めた私とは対照的に、彼はデートの帰りにさらっと告白してくれた。
「晴ちゃん、早いと思うかもしれないけど、付き合おう」
こうして、私たちは付き合い始めたのだ。
そこからは、彼の親が所有している最低でも2億円はする分譲マンションの部屋で、週の半分を2人で過ごすことに。
冬馬はコンサル勤務で多忙だったが、機嫌が悪くなることも一切なく、育ちがいい人は穏やかだと感じる日々。
しかし、破局の予兆は私が思ったよりも早く来てしまったのだった。
コンビニとスーパー、70円と130円、60円の差をガタガタ言う男性とは、いくら御曹司でもフェラーリ乗っててもYouTuber のイケメンそっくりでも無理ですが。
何だかイライラした。これ、本当のお金をちは…とか語りだすコメントを誘っているようで。前にもあったね。へんなかねもち連載。
【御曹司に恋はムズかしい】の記事一覧
2022.01.15
Vol.12
彼と毎日LINEをするのに、告白はおあずけ。恋愛は女任せなおぼっちゃまの本音とは?
2022.01.14
Vol.11
“おぼっちゃま”だから恋人ができない!?「御曹司に恋はムズかしい」全話総集編
2022.01.08
Vol.10
イケメン御曹司とデート中に女がフリーズ。彼のLINEアイコンは“あの人”とのツーショットだった…
2022.01.01
Vol.9
お年玉は“100万超え”が普通…。27歳女が違和感を覚えた、御曹司のとんでもない価値観
2021.12.25
Vol.8
「BMWは親に買ってもらった」ハイスペ男と交際したら“人の自慢話”ばかり。呆れた女は…
2021.12.18
Vol.7
「庶民は相手にしない」役員報酬だけもらって仕事をしない御曹司33歳が、女をブロックした理由
2021.12.11
Vol.6
彼氏が自慢の手料理を食べずに即帰宅。潔癖男が嫌がった理由は、家に“アレ”がなかったから…
2021.12.04
Vol.5
「駅前で30分待機…」美女と付き合うために、ストーカー気質の男がしたありえない行動
2021.11.27
Vol.4
「令和にもなって、こんな女性は無理…」結婚したい28歳の美女が、二代目社長にフラれた理由
2021.11.20
Vol.3
高級外車のドライブで“アレ”が聞こえてきて…。女がデートを切り上げた、御曹司の大好きな趣味とは?
2021.11.13
Vol.2
整形外科医のおぼっちゃまとワインバーで初デート。女が即帰りたいと思った“ある失言”とは一体…
おすすめ記事
2017.03.05
メニューによります
メニューによります:男の誘いを、メニューで査定する女。今宵の武器は“生ハムの王様”
2018.11.06
恋と友情のあいだで 〜里奈 Ver.〜
「私たちの関係は、何だったの...?」恋と友情のあいだで苦悩した女。最後の哀しき願いとは
2020.08.02
スパイシー・デイズ
28歳女の友情にヒビが入った、女子会での何気ない一言とは?
2021.04.27
リバーシ~光と闇の攻防~
上司から与えられる、“無償の愛”。24歳OLの人生が狂い始めた夜の出来事
2017.05.26
赤坂の夜は更けて
赤坂の夜は更けて:金曜日の26時。元彼からの電話で帰る女の、下手な嘘
2020.04.22
フレネミーな2人
「週刊誌に撮られたって、気にしない」世間を味方につけ、人気を掴み取る女子アナの計画
2018.06.29
婚活モンスター
婚活モンスター:商社マン大好き♡そんな女が、絶対に商社マンから選ばれない悲しいワケ
2017.08.10
寿退社したものの
寿退社したものの:憧れの専業主婦ライフ。華やかな生活を捨ててまで得た「安定」の現実
2017.02.21
マリエ・ストーリーズ
一枚の写真は、如何なる文章よりも雄弁。リッツ・カールトンでの一枚が物語る事実
2018.02.20
シバユカ
シバユカ:男に頼って何が悪い?“結婚ありき”で人生を描く、イマドキのしたたかガール
東京カレンダーショッピング
ロングヒット記事
2023.05.05
甘いひとくち〜凛子のスイーツ探訪記〜
「ちょっと休んでくるね…」休日デートの途中、31歳女が涙をこらえて彼氏から逃げたワケ
2023.05.14
ハワイに憧れて
離婚して10年経っても、元妻に会い続ける男。不審に思った現妻が、夫を問いただすと…
2023.05.25
嘘
「どう?」ウエディングドレスを試着して、後ろを振り返ったら…。婚約者の態度に驚愕…!
2023.05.09
二世お受験物語
名門校卒だと知られた途端、教室のママ友たちの「見る目」が変わり…。“二世受験”の苦悩
2023.05.16
AM9時、六本木のカフェで
カフェで堂々と別れ話をするカップルに遭遇。思わず聞き耳を立てた女が、恥ずかしさに頬を赤らめたワケ
2023.05.07
男と女の答えあわせ【A】
デート中のカウンター席で「完全にアウト」。女が男を嫌になった、お店でのご法度だった行為とは…
2023.05.13
交換生活
たった2週間だけ付き合った男。別れ際に彼から告げられた“自己中すぎるお願い”とは
2023.05.20
貴方の香りに恋して
何度もデートしていたのに、突然音信不通になった女。インスタで彼女を見つけた男は、衝撃を受け…
2023.05.29
運命の時計
後輩に誘われ食事会に参加した32歳女。彼女を傷つけた男性陣の何気ない一言とは…
2023.05.13
男と女の答えあわせ【Q】
マッチングアプリの初アポは表参道のカフェで…。経験者なら分かる、会って1時間後の“沈黙”の瞬間
この記事へのコメント