2021.06.04
vs.美女 ~広告代理店OLの挑戦~ Vol.1美人か、そうでないか。
女の人生は“顔面偏差値”に大きく左右される。
…それなら、美しく生まれなかった場合は、一体どうすればよいのだろう。
来世に期待して、美人と比べられながら損する人生を送るしかないのか。
そこに、理不尽だらけの境遇に首をかしげる、ひとりの平凡な容姿の女がいた。
女は次第に「美人より、絶対に幸せになってやる!」と闘志を燃やしていく。
― ついについについに!
リモートワークを終えた山科園子は、スキップをしながら自宅の廊下を駆け抜け、襖を開けた。広々とした和室の中央で、両親がすでに夕食を始めている。
「おお園子、随分と遅くまでかかったね。お疲れさま」
「引き継ぎが結構大変だったの。でもこれで経理は卒業!明日から私、営業職よ!」
「おお、園子の希望が叶ったんだな。景気づけに乾杯しよう」
父親の差し出したお猪口を受け取り、園子は微笑んだ。
◆
園子が大手広告代理店に入社したのは、今から3年前のこと。そこでの華やかな代理店ライフを夢みていたが、初任配属は経理部だった。
そのため園子は、イメージと実際の仕事とのギャップに苦しむことになったのだ。
「お疲れさまです。昨日出していただいた書類、2円計算が合っていないんですけれども…」
営業から提出される書類を細かくチェックし、ミスがあれば電話で確認する日々。
億単位のお金を動かしているからか、一部の営業職の人間は細かいお金について無頓着で、経理からの電話を後回しにする。何度かけても一向につかまらない人もいる。
その地味さに辟易し、この3月。人事に「異動したい」と申し出たのだった。
「私、営業職への異動を希望します。できれば華やかなクライアントがいいです」
希望を出したところで通らないことも多いと言われているなか、園子の希望はするりと通った。…というのも園子の実家は、有名老舗和菓子店を代々経営している。
そして代理店にとって、山科家の和菓子店は長年の得意先なのだ。もちろん、父親と役員の仲も良い。
― 異動が叶ったのは、お父さんが口利きしてくれたからだな。でもこれで、ようやく華の営業職ね!
とはいえ園子には、この異動に対してある大きな不安があった。
なんて突然自虐言うような子、普通いないから。
意味不明な態度が、自分で自分を生きにくくしているように思う。
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