SPECIAL TALK Vol.79

~枠にとらわれず、やりたいことをやる。アートと科学の融合で夢想した未来を現実に~

令和のニューリーダーたちへ

独特な作品を生み出すアーティストとして、世界的に活躍するスプツニ子!氏。

子どもの頃は同質性を求められる日本の学校になじめず、インターナショナルスクールを経て、イギリスの大学へ飛び級で進学。

大学院での卒業制作『生理マシーン、タカシの場合。』が大きな話題を呼び、28歳のときにアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの助教に就任し、若い世代を代表する現代アーティストとして、世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーにも選出された。

アートを通じて世の中に問題提起を続けるスプツニ子!氏から、自身のユニークさを武器に混迷の時代を生き抜く強さを解き明かす。

スプツニ子!氏 1985年東京都生まれ。高校を1年飛び級し、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンに進学。2010年にロイヤル・カレッジ・オブ・アートにて修士課程を修了。3つの卒業制作とその問題提起が話題を呼ぶ。2013年から17年まで、MIT メディアラボ助教。2017年、東京大学特任准教授。2019年4月、東京藝術大学美術学部デザイン科准教授に就任。

金丸:本日はアーティストのスプツニ子!さんをお招きしました。お忙しいところ、ありがとうございます。

スプツニ子!:こちらこそお招きいただき光栄です。よろしくお願いします。

金丸:今日は中目黒にある『3110NZ by LDH Kitchen』でお話を伺います。日中はギャラリー、夜は名店『鮨さいとう』プロデュースの鮨が味わえるという異色の空間です。

スプツニ子!:お食事も非常に楽しみです。

金丸:スプツニ子!さんは、コロナの前は海外に行く機会も多かったと思います。洋食と和食では、どちらがお好きですか?

スプツニ子!:どちらかというと、和食ですね。これまでイギリスとアメリカで暮らしましたが、日本は高級グルメからB級グルメまで全部おいしいですよね。向こうはスパイスやクリームなど、味付けが濃すぎて苦手で……。和食は素材そのものをしっかり味わえます。

金丸:お生まれは日本ですか?

スプツニ子!:はい、高校までは日本で育ち、大学進学を機にイギリスに行きました。当時のイギリスは、本当にご飯がおいしくなくて食べられるものを探すのに苦労しました。だから、日本に帰ると「何を食べてもおいしいな」といつも感動していました(笑)。

金丸:ところで、スプツニ子!さんは、アートとテクノロジーを融合させた作品を数多く制作されていますよね。

スプツニ子!:私の専門は、スペキュラティブ・デザインと言って、簡単に言うと、作品を通じてテクノロジーの未来を問いかけるアートです。作品を見た人が、その問いかけに対して何か考えるきっかけになればと思っています。

金丸:以前は、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボや東京大学でも教鞭をとっていらっしゃいましたよね。

スプツニ子!:メディアラボの助教としてデザインフィクション研究室を主宰し、東京大学では生産技術研究所のデザインラボで特任准教授を務めていました。現在は、東京藝術大学のデザイン科で准教授をしています。

金丸:アーティストであり理系でもある。学生たちを指導する立場でもあり、女性の代表としてさまざまなメディアで意見を発信していらっしゃる。しかも、作品は「いったいどういう思考から、このような作品をつくろうと思ったのだろう?」という独特なものばかりです。

スプツニ子!:ありがとうございます(笑)。

金丸:非常にユニークなスプツニ子!さんがどのように育ち、今に至ったのかを伺いながら、創造の源泉や人生観に迫りたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

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