私たち、出逢わなければよかった Vol.2

婚約者の前なのに…。別の男に心奪われた女がやってしまった、最低な行動

かつて好きだった彼との再会。その思いが再燃してしまった時、人は恋心を抑えることができるのだろうか。

堰を切ったように溢れ出す感情。恋人も家族も敵にまわして貫く恋。

「ねえ。私たち、出逢わなければよかった…?」

安定した未来を捨ててまで燃え上がってしまった、恋の行方とは。

◆これまでのあらすじ

大好きな恋人と婚約し、幸せの絶頂にいた菜々子。だがある日、初恋の相手・麻生健太郎が目の前に現れた。菜々子は動揺してしまい…?

▶前回:私たち、出逢わなければよかった:婚約し、幸せの絶頂にいたはずなのに…。人生が狂い始めた出会いとは


―本当に、あの麻生先生だった…。

部長の来客である“麻生”を応接室に通した菜々子は、パウダールームに飛び込んだ。

心臓がドクドクと音を立てている。

荒くなった息を整えようと、いつもより長くたっぷりと空気を吸い込む。そして5分前、応接室まで一緒に歩いた彼の姿を脳内で再生してみた。

しかし何度思い返してみても、高校時代に菜々子の家庭教師をしてくれていた、あの彼で間違いない。

「部長の代理で参りました、岸田と申します…」

受付で彼を一目見た瞬間、驚きのあまり声が震えてしまった。一方の麻生は、菜々子に気づいていないのか全く動じなかったのだ。

「私のこと、忘れちゃったのかな…」

誰もいないガランとしたパウダールームで、つい声が漏れてしまう。

菜々子は、久しぶりに会った友人にも「全然変わらないね」と評されることが多い。

スッピンだった高校時代と比べると、化粧もするようになったし、多少垢抜けたと思う。だが普段からメイクは薄めだし、昔から黒髪ボブをキープしていることもあって、多くの人間に認識してもらえるのだ。

ただ岸田と名乗っても、彼は何の反応もしなかった。やはり忘れてしまったのだろう。

「あっ、もうこんな時間だ…」

その時ふと腕時計に目をやった菜々子は、急いで会議室へと向かった。

この記事へのコメント

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No Name
最後取引先の人に話しかけられたのに逃げ出すなんて、社会人としてどうなの…仕事に私情挟み過ぎ。
2021/02/24 05:1399+返信1件
No Name
婚約してるのに、そんなにまで心が揺れる?
今が幸せなら、麻生さんで頭がいっぱいになり思考も停止するなんて考えられない。
2021/02/24 05:3099+返信14件
No Name
副社長に呼ばれたら5分以内に行かないといけない?
ブラック会社?
2021/02/24 05:5282返信2件
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