貴女みたいに Vol.5

突然鳴ったインターホン。ドアの前に立っていたのは…恋人との時間をブチ壊すまさかの人物


「大好きだから、あなたみたいになりたい」

そんな言葉とともに、

なんでも話せる女友達に、姿形も、仕事も、恋人も、全てコピーされ、人生を乗っ取られてしまったら…。

恋も仕事も順風満帆。充実した毎日を送っていた夏絵(33)と同じ会社に、恵理(28)が入社してくる。

それは、女の日常に潜む地獄の始まりだったー

◆これまでのあらすじ◆
恵理がデートに乱入してきた翌日、夏絵は寝坊をして大遅刻をしてしまう。夏絵の代わりに大事なプレゼンを任された恵理は、大成功を収め、クライアントの信頼を得た。そんな中夏絵は社長室に呼び出され…

▶前回:「たった一回の過ちで…?」恋も仕事も順調なはずの女に下された、ありえない決定


夏絵の婚約者の智樹は、29歳。夏絵より4歳年下で、付き合い始めて1年半になる。

智樹が中途で入社してきてから、その展開は早かった。夏絵はあまり恋愛に積極的なタイプではないが、なぜか智樹とは自然と惹かれ合ったのだ。

智樹は、一言でいうと、天真爛漫なタイプ。明るく朗らかで人懐っこい。少々能天気で、楽天的すぎる面があるが、まじめで神経質な部分のある夏絵にとっては、智樹の全てが眩しかった。

―あの天性の明るさは、生まれ育った環境かな。

と、時折思う。智樹は老舗食品メーカーの御曹司なのだ。一族が牛耳る大企業の家に長男として生まれ、生粋のおぼっちゃまとして育っている。

御曹司の中にはその立場を重荷に感じてかどこか陰のある印象の青年もいるが、一方で智樹のような“底抜けに明るい”タイプも少なくない。

「最初から家業には入らず、一度は社会に出て社会経験と能力を身につけること」が一族の方針で、智樹もその方針に従って、新進気鋭のベンチャー企業に息巻いてやってきたのだ。

―もうすぐ智樹と家族になれる。

夏絵は想像するだけで胸が踊った。きっと笑顔が絶えない家庭が築ける。智樹は間違いなく優しくて子煩悩な父親になるだろう。そんな風に想像してしまうのは気が早いのかもしれないが、でも、33歳の夏絵は悠長なことも言っていられない年齢だ。

―子育てのために、少しキャリアから離れることになるかな。

それはそれで、受け入れよう。そんな覚悟すらたやすくしてしまうほどに、智樹との日々は幸せなことばかり。

そんな智樹が、夏絵の前ではじめて顔を曇らせる。

「彼氏のふりをして、デートをしてほしいって言われたんだ。恵理さんに」

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