2020.11.21
SPECIAL TALK Vol.74プロ1年目から大活躍。優勝を経験するも大怪我を負う
金丸:2001年のドラフトで阪神から4位指名。ついにプロ入りですが、当時は野村克也さんが監督でした。野村さんは足の速い選手がお好きでしたよね。
赤星:僕は僕で、データを調べたり分析したりするのが好きなので、ノムさんとは相性がよかったんです。あるとき、僕がノートを書いているのを見たノムさんが「おまえ、何書いてるんだ?」と。「今日の攻められ方を記録してます」と言ったら、それで気に入られて。
金丸:試合中、赤星さんと野村さんはベンチですぐ近くに座っていましたよね。
赤星:はい。「おまえだったら何狙うんだ?」と聞かれ、「僕だったら」と答えると「じゃあ、打てないわ、おまえ」と。
金丸:ばっさり(笑)。野村節ですね。
赤星:阪神は1998年からリーグ成績が3年連続で最下位。僕が入団した2001年はノムさんが監督になって3年目でしたが、それまでの2年は、ノムさんでも連続で最下位でした。だからノムさんからすると、チームが勝つことももちろん大事だけど、誰かを育てなければという思いがあったように感じています。
金丸:野村さんは、選手の育成でも定評がありましたから。
赤星:「赤星、おまえ、俺の前に座ってろ」と言われ、守備が終わってベンチに戻ったら必ず何か言う。打席に出るときも言うし、帰ってきてからも言う。
金丸:徹底していますね。
赤星:ただ、「盗塁はおまえなりの考え方でいい。帰ってきたら話を聞かせろ」と言われていて。盗塁に関しては認めてくださったのがうれしかった。
金丸:これまで磨いてきた自分の武器が生きて、監督との相性もいい。プロとして最高の滑り出しじゃないですか。
赤星:ノムさんには、プロの世界は今まで以上に調べなきゃいけないことがたくさんあるんだと教えてもらいました。バッターとして打席に立つとき、僕はずっとピッチャーと勝負しているつもりでしたが、ノムさんに「キャッチャー目線で考えろ」と言われましたね。
金丸:名捕手だった野村さんらしい。
赤星:僕の同時代には素晴らしいキャッチャーが何人もいて、彼らの配球に着目するなかで、さらにいろいろなことを学びました。プロ入りして最初の監督がノムさんだったおかげで、その後の選手としての活躍がある。僕は恵まれていました。
金丸:翌年には、星野仙一さんが監督に就任されますね。
赤星:監督が変わっても、僕はひとり黙々とデータ収集と分析を続けていました。逆に「みんな、なんでそこまでやんないんだろう」と不思議に思っていましたね。すごく正直に言うと、「だからタイガースは弱いんだろうな」と思っていたくらいです。
金丸:しかし、2003年、阪神は18年ぶりにセ・リーグで優勝を果たします。
赤星:最後、なかなか優勝が決まりませんでしたけど。
金丸:そう。私も優勝が決まる瞬間に立ち会おうと、東京で応援して名古屋にも行って、それでも決まらなくて、傷心で東京に戻りました。そして翌日、甲子園で優勝が決まった。
赤星:実はあのとき、祝勝会のお店の予約は僕が担当でした。東京と名古屋でキャンセルすることになって、「なんで俺がこんなことやらなきゃいけないんだ」と思いながらも平謝りして。「キャンセル料は?」と聞くと、「いいです。楽しませてもらってるんで」と、ありがたい言葉をかけてもらいました。
金丸:そういうこともされていたんですか。2005年にもセ・リーグで優勝し、赤星さんは5年連続盗塁王というセ・リーグ記録を樹立されます。ゴールデングラブ賞も6回受賞し、華々しい成績をあげられました。
赤星:ただ、怪我には苦しめられましたね。2007年には頸椎椎間板ヘルニアと診断され、プレーによって悪化することもあったし、2009年には、プレー中のダイビングキャッチで中心性脊髄損傷を負い、手足が動かなくなってしまって。でもまだまだ選手として野球をしたいという一心で、リハビリに励みました。
金丸:赤星さんがグラウンドで動かなくなり、担架で運ばれていった光景は、今でも忘れません。そして最終的には、その年に現役を引退されましたね。
赤星:医師には「今度やったら命の危険がある」とも言われました。悔しかったけど、しょうがありません。
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