SPECIAL TALK Vol.74

~この体だからこそできることをやりたい。逆境を覆しつづけてきた自信が、次なる挑戦に繋がる~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。

今だからできることを通じて、いずれ野球に恩返ししたい

金丸:ちなみに、怪我の後遺症はいかがですか?

赤星:日常生活には支障ありませんが、両肩から手まで、いまだにしびれた状態ですね。握力はだいぶ戻りましたが、手だと温度がわからないんですよ。感覚がなくて。だから、やかんに手が当たっているのに気づかず、やけどしたこともあります。風呂の湯加減を確かめるのも、足じゃないとわからない。

金丸:それほどの大怪我だったんですね。

赤星:お酒を飲むとしびれが強くなるので、引退したあとはほとんど飲まなくなりました。自分の体の状態を考えると、日常生活が送れるだけでもありがたいなという気持ちです。

金丸:これから先、解説者や評論家としてではなく、たとえば監督やコーチとして野球に関わりたいという気持ちはありますか?

赤星:入団後の活躍は自分の努力もあるけれど、阪神に入団していなければ、今の自分はないと思っています。だから恩返ししたい気持ちはあるし、周りの方からも「阪神で監督やコーチをやらないのか」と言われます。本来であればそういう道を進みたかった。ただ、今は正直、この体では無理なのかな、と。

金丸:でも、赤星さんのことですから、逆境であってもそれで諦めることはしないのでは、とついつい期待してしまいます。

赤星:もちろん、野球を諦めているかというと、そうではありません。今、こういう状態だからこそできることはなんだろうと、いつも考えていますね。もともと「野球だけ」というのは好きではないので、野球以外の分野でこれまで経験できなかったことや、やったことのないことに挑戦して、そこで得た経験を野球界や阪神に還元することができればと考えています。

金丸:企業で講演をする機会も多いそうですが、それもまたいい経験になりそうですね。

赤星:僕が選手会長を長くやっていたこともあり、リーダー論について話すことが多いです。特に関西の企業の方からは「監督も選手も大変な人たちばっかりだったのに、どうやってまとめていたんですか?」と(笑)。

金丸:監督も選手もみんな個性的ですからね。

赤星:野村さん、星野さん、岡田彰布さんと、本当に三者三様で。時々「赤星は誰派なんだ?」と聞かれることもありますが、僕は誰とも似てないんです。だから、うまいこと合わせられたのかもしれません。

金丸:私はこれまで多くの経営者と付き合ってきましたが、「リーダーにパターンはない」というのが、私の結論です。強いリーダーシップで従業員を引っ張っていく人もいれば、反対に無理して引っ張るのではなく、従業員に「自分が社長を支えなきゃ」と思わせるのがうまい人もいる。経営者像やリーダー像も、もっと多様化していいと思います。野球だって、多様なメンバーがそれぞれの得意を生かす競技じゃないですか。

赤星:まったくそのとおりです。打順は1番から9番まであり、ピッチャーも先発、中継ぎ、抑えと期待される働きも違います。野球はほかのスポーツに比べて、ルールブックが一番分厚くなるくらい、ルールがすごく多いんです。いろいろな役割の選手がいるからこそ、いろいろなシチュエーションが起こるし、ルールも多くなる。そして1年のなかで同じ展開の試合はほとんどない。それが野球の一番の魅力ですね。

金丸:勝ちにも負けにもいろいろなパターンがあります。だから試合で動きがあるたびに、ファンは一喜一憂する。

赤星:引退して試合解説をするようになってから、野球の奥深さと難しさを改めて感じています。野球にもITが活用され、データ収集や分析が行われるようになった結果、これまでの定説が覆り、意外な真実が見えてくるようにもなりました。だからこそ、野球はこれからもますます面白くなると思うし、その魅力をこれからどうやって伝えていくかが、自分の役割であり使命だと思っています。

金丸:人生は思い通りにはいきません。それでも赤星さんのように、実直に努力してチャンスを掴み、夢を叶えることができる。いずれは「赤星憲広監督が率いる阪神タイガース」という私の夢も叶えていただけると最高です(笑)。今日は本当にありがとうございました。

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