本命昇格・虎の巻 Vol.4

今夜そのまま泊まろうと思ったら…年上の美女が男に差し出した、信じられないモノ

連絡はろくに返してもらえず、相手の好きな時にだけ呼び出され、用が済んだら追い返されるー。

そんな「都合のイイ関係」に苦しむ男女たち。

好きになった方が負け。結局そのままズルズルと振り回され、泣きを見る者が大半だろう。だけどもし、そこから形勢逆転する“虎の巻”があったなら…?

坂本なつめ(28)は、幼馴染の宮本蓮が大好き。でも彼はある女性の「都合のイイ男」にされていた。

なつめは好きな男のために、一肌脱ぐことを決意する。

諦めないで。私が本命になる方法を伝授しましょう。

◆これまでのあらすじ

なつめに秘密で、マイコは蓮を自宅に招き、一夜を共にしていた。その後は蓮からの連絡をスルーし続けていたマイコだが、なつめと蓮が会うと知った日に、自宅に彼を呼び出して…。

▶前回:2週間ぶりに食事した後、さっさとタクシーに乗せられて…。女が男からされた酷い仕打ち


カモミールの柔らかな香りが、キッチンにふわりと立ち込めた。蓮はグラスポットの蓋を閉じ、電気ケトルを元の場所に戻す。

「いい匂い」

ダイニングテーブルに座ったマイコが、顔だけをこちらに向けて微笑んだ。

ルームウェアだという黒いシルクのローブ姿が眩しくて、蓮はふいと視線を外す。ローズの柄が描かれたマイセンのカップにハーブティーを注ぎ、マイコの手元に置いた。

「ありがと、蓮くん」
「いえ…」

蓮は言葉少なに首を振り、椅子を引く。ふと置時計に目を遣ると、午前0時を少し過ぎていた。

マイコと最初に関係を持ってから、連絡も取れずに2週間。諦めたくなかったが、しつこく連絡して嫌われるのも困る。

恋愛経験がほとんどない蓮は、自分なりに苦しみ続けていたつもりだったのだが…。

2時間前に蓮を呼び出したマイコは、ドアを開けるなりけろっとした様子で「わー今日もかっこいいね」と笑ってキスをしてきた。

そのまま大した会話もせずに寝室に誘われ、事が済むと「寝る前にハーブティー飲みたいな」とねだられたのだ。

連絡が途絶えたのは、避けられていたからではない。ただ彼女が多忙で気まぐれだっただけなんだ。でなければ、また家に呼ばれるはずがない。

「明日、どこか朝ごはん食べに行きませんか。いいところ知ってるんです」

蓮は、自分の分のハーブティーを注ぎながら言った。

ーここからなら、代官山の『GARDEN HOUSE CRAFTS』までタクシーで10分もかからないくらいだな。マイコさんはあのテラス席がよく似合うだろうな。

思いを巡らせながら顔を上げると、喜ぶと思ったマイコは想像に反して、曖昧な表情を浮かべていた。

「んー…っと」

華奢な手がカップをソーサーに戻す。マイコはおもむろに立ち上がり、ウォーターサーバーの横に置いていたFENDIのハンドバッグから財布を取り出し、そして。

「ごめんね、今日は一人で寝たい気分なの。タクシーで帰ってくれる?」

【本命昇格・虎の巻】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo