縁側をのせたヒラメの握りは噛む喜びも感じられる逸品だ。身質のよさはほのかに透き通る中心部からもうかがえる。
ヒラメは2kg以上の「常磐もの」を採用。このくらいの大きさがあると身に力があり1~2晩寝かせてぐっと旨味を出す。
皮目も食べられるように湯引きされた春子鯛。丁寧に洗うことで酸化を遅らせ繊細な食感を実現している。
宇賀さんも思わず唸った、アンコウの「プリン巻き」。
あん肝をたっぷり使うため、新鮮でないと重たくなってしまう。
そこで大将が使うのは鮮度に信頼があり、旨味の強い「常磐もの」。
アンコウの「プリン巻き」は商標登録もされている店の名物で、あん肝を裏ごしして酢飯と合わせて海苔で巻いたもの。福島の甘い貴醸酒と合わせれば、フォアグラと貴腐ワインのような甘美なマッチングをみせる。
宇賀さん曰く、「こんなに贅沢なあん肝の食べ方があるのだと驚きました。まず手にとった瞬間の香りが凄くて、口に入れると濃厚な旨味が広がります。
日本酒は蜜のような味わいで、あん肝みたいにコク深いものによく合います。本当に幸福感のある組み合わせですね!」
いわき市の“市の魚”である「メヒカリの一夜干し唐揚げ」。
大将のこだわりにより、一夜干しで余分な水分を抜いているため旨味が凝縮し、ふっくらしたまま骨まで食べられる仕上がり。
メヒカリは一年通して獲れるが、脂がのっている冬が最も美味しく、食べごろだ。
福島の魚は、福島の日本酒とのマリアージュも至福を極める。
「福島は全国新酒鑑評会で金賞受賞の蔵の数が日本一多い。写真の4本は気候風土も生かして個性を感じるもので、ふくよかさや豊かさを感じられるラインナップです」と田崎さん。
日本酒は1,200円~、夜の鮨コース 20,000円(昼は平日10,000円、土は20,000円)。
豊かな海からくる魚の品質は、それを引き立てる職人技と酒があってこそ真の味を楽しめるもの。
そんな大人の時間を過ごしたければ、いざ六本木の鮨の名店へ。
■店舗概要
店名:鮨 由う
住所:港区六本木4-5-11 ランド六本木ビル B1F
TEL:03-3404-1134
営業時間:【火・水】17:30~、20:15~(2部制)
【木~土】ランチ 12:00~14:00
ディナー 17:30~、20:15~(2部制)
定休日:日曜、月曜を中心に月8回
席数:14席
※「プリン巻き」はテイクアウト可能。
※常磐もののメニュ―は、2020年12月17日までとなります。
■プロフィール
田崎真也さん/ソムリエ
1958年、東京都出身。19歳でソムリエを志し、3年間フランスに滞在。1995年に世界最優秀ソムリエ コンクールで日本人として初優勝を果たす。1999年にはフランス農事功労賞シュヴァリエを受賞。講演やテレビ出演のほか、『ワイン生活』(新潮社)等著書も多数。無類の釣り好き
宇賀なつみさん/アナウンサー
1986年生まれ、東京都出身。大学卒業後にテレビ朝日入社。キャスターとしてアスリートへのインタビューやスポーツ中継、情報番組等を多数担当する。2019年にフリーランスへ転身。『土曜はナニする!?』(関西テレビ、土曜8:30~)等に出演中。お酒、音楽好きとしても知られている
「常磐もの」の鮨を楽しむなら、広尾『鮨 在』も外せない
素材そのものの味を手技で引き出し、存在感をどこまでも高める。
『鮨 由う』の系列店である『鮨 在』でも、「常磐もの」の素材の味を極限まで引き出した鮨が食べられる。
脂がのったあん肝はシルキーな舌触りで風味は上品そのもの。
「鮮度を重視するので常磐ものにこだわります」と大将の岡田氏はきっぱり。辛口の日本酒、または熟成感のある生酛や甘い濁りとの相性も抜群。
以下、料理はすべて夜のコース 23,000円の一例。
淡味で繊細な春子鯛は昆布締めにし、柔らかい皮目に熱湯をかけて皮霜作りに。
身の締まりが良く旨味のあるマコガレイは1日寝かすことで旨味を充実させ、握っている。
メヒカリはカツオの酒盗に漬け込んでから炙るこだわりよう。ボリューム感を合わせ「天明 美山錦50生純吟」をワイングラスで。
ペアリングも評判の同店で、上質な常磐ものの魚介に福島の銘酒を合わせれば、至福の時間だ。
■店舗概要
店名:鮨 在
住所:渋谷区広尾5-3-13 5F
TEL:03-3446-1134
営業時間:[カウンター]ランチ 12:00~14:00
ディナー 18:00~20:15、20:30~
[個室]17:30~19:45、20:00~
定休日:日曜を中心に月8回
席数:14席
※常磐もののメニュ―は、2020年12月17日までとなります。